拍手ログ

□NARUTO拍手ログ
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【子カカシと既婚女性】その3


俺とした事がヘマをした。

今日の任務で敵と戦闘になり、大したことない相手の戦闘力につい油断し敵の投げたクナイに気付かずそれをまともに背に受けたのだ。

丁度、肩甲骨と背骨の間。
骨に邪魔されることなくブスリと深々と刺さったクナイは無理矢理引き抜けば出血がひどくなるだけでなく他の神経にも影響を及ぼす可能性があるかもしれないと、リンがいたがその場ではクナイを引き抜かず無理に動き回ってこれ以上血を流さないように気を付けるというぐらいしか対処が出来ず
敵はミナト先生があっさり片付け俺は屈辱だがオビトに肩を借りて病院へと向かった。

病院で丁寧で適切な処置をしてクナイを引き抜き、後は医療忍術のエキスパート達によって出血は簡単に止まった。

おそらく大丈夫だろうが大事をとって一日だけ入院することになった。

散々オビトにからかわれ今回に限っては言い返すことも出来ず、だがやはり内心はイライラと鬱憤が溜まっていた。

ミナト先生が察したのか「とにかく、大丈夫そうで良かったよ」と言ってオビトとリンを連れて病室を出ていった。

しかし俺の中の鬱憤は晴れず、それをどう晴らしてやろうかとベッドに寝転がって考えていた。

突然、バンッ!と大きく病室のドアが勢いよく開かれる。

大部屋だったが今は俺一人しかいない。
俺しかいなくて良かった。

驚いて体を起こしてその方向を見るとそこにはあの女の人。

激しく息を切らし、キョロキョロと部屋の中を見回してやがて俺と目が合う。

俺はため息をつくとイラついていたのもあって八つ当たりのように冷たく

「あのさ。もうちょっと静かに入ってこれないわけ?
ここ病院だって分かって」

「カカシさん!!」

目に涙を浮かべ今にも泣きそうな顔、悲痛な呼び声。

見た事もない顔に聞いた事もない声。
初めて見る女の人の様子に俺は思わず途中までの言葉と息を同時に呑み込む。

女の人はドアも開けっ放しに駆け寄ると驚いて固まっている俺を抱き締めた。

「………っ!」

更に驚く俺。
驚きの連続ですっかり溜まっていた鬱憤も文句もすっ飛んでしまった。

「ミナトさんから、聞いて…!
私…っ慌てて…走って…!良かっ…良かった…っ無事で、本当に…っ本当に……!」

ぐすっと耳元から聞こえる啜り声。
服越しに伝わるカタカタと震える女の人の細く柔らかい体。
血の気が引いているのか背に回されている彼女の白い手はとても冷たくなっていた。

普通なら抱き着かれたらすぐ様問答無用で引き離す。
でも、俺はいつもと違い過ぎる彼女の様子に困惑し動揺して引き離す事が出来なかった。

「お…大袈裟すぎるだろ。
このくらい…どうってことないって」

「………っ」

「なっ泣くな!泣くなって!
俺は無事だったんだから泣くなよ!俺が泣かせたみたいで困るだろ!?」

「ごめんなさい…っ涙が、どうしても止まってくれなくて…」

「…あのなぁ」

ぐすぐす泣く女の人に俺は呆れる。

「とりあえず、さ。離れてくれない?」

ふわふわと緩やかに波打つ綺麗な黒髪の上から俺はポンッと優しく背を叩くとゆっくりと女の人は離れてくれた。

女の人はまだ泣いていた。

手で流れる涙を拭う様子を見て「綺麗だ」とどうしてか一瞬思ってしまった。

「……悪かったよ…心配かけて」

「………」

「だから、泣くなよ」

「……はい…っ」

涙を止めようと拭う左手に光る銀色の指輪。
愛を誓い合った指にはめられたそれが理由もなく妙に目障りだ。

この女の人に愛された男はこうして彼女にいつも心配してもらっているのだろうか。

女性の笑顔を、毎日独り占めしてるのだろうか。

そう考えるとどうしてか顔も知らない男に苛立ちを感じた。

「…だから、泣くなって…」

そっと指で涙を拭ってやる。

すると彼女は驚いたように俺を見て、すぐに嬉しそうに微笑んだ。

「(そう。その笑顔でいろよ。調子狂うだろ)」

彼女を本気にさせたいと思ったけど、こんな形で本気にさせたくなかった。

もっと別の形で本気にさせたい。

「(今回のはカウントしないから)」

無しだ無し。こんなの、俺もスッキリしない。

改めて彼女を本気にさせる。

どういう形でかは、まだ分からないけれど…


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