拍手ログ

□NARUTO拍手ログ
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【子カカシと既婚女性】その5


珍しく今日は任務もなく休みだった。

近頃は他国の忍の動きも活発でいつ大きな戦争が始まってもおかしくないご時世の中、休みとは珍しかった。

ミナト先生曰く「このご時世だからこそ、体を休めることが大切だからね」と言うことらしい。

一理ある。

俺はこの休みを利用し、とりあえずこの間読み終わった本の代わりを探す為に本屋へと向かった。

普段はじっくりと選ぶ事は出来ないが今日はたっぷりと時間がある。
いつも行く本屋に惹かれる本が無ければ別の本屋へ行って探す余裕もある。

本屋を目指してひとり歩き、どんなものを読もうかとぼんやり考えていると

「わっ」

「!」

曲がり角で丁度買い物で先に家を出ていた女の人と出くわした。

互いに驚いてしばらく見つめあう。

背丈は同じか…くそ。俺の方が若干低いな。

彼女は買い物をしていた割には不自然に息が激しく乱れ、汗をかいていた。

まるでついさっきまで走っていたような…

「あんた…」

「ごっごめんなさいカカシさんっ」

「あっおい!」

女の人は一度後ろを振り返ると俺の横をすり抜け走り出す。

そんなに急ぎの用事でもあるのだろうかとぼんやりと見送っていたが

「待てぇ!」

「ほーら、追いついちゃうぞー?」

彼女がやってきた同じ方向からやらしい顔をした男ふたりが走ってくる。
明らかに彼女を追いかけていた。
男ふたりの姿格好から見て里の上忍。

どうせクズのヘボい上忍だろうが腐っても上忍。
一般人である彼女が敵うはずもなくあっさりと男ふたりに捕まった。

「いや…!」

「かーわいいねー。何処遊びにいく?」

「困りますっ離して下さい!」

「大丈夫だって。痛い事しないから」

「私には夫が…!」

「ちょっと遊びに行くくらいじゃ旦那さんも怒らないって!
しかし若い奥さんだねー。若い人妻か…奪いたくなるよね」

普通怒るだろ。

「おい。その人を離せ」

「あー?」

抵抗出来ないよう羽交い締めするだけでなく、やらしい手付きで女の人の体を撫でるゲス野郎共に声をかけた俺を不愉快そうに見る。

「里の下忍か?
下忍風情がヒーロー気取りかよ。
お子様のごっこ遊びに付き合ってられるほど暇じゃねぇーんだよ」

「さ、行こうか奥さん。
旦那さんだけじゃ物足りない思いしてたんだろ?」

「いやぁあ!」

女の人の体を抱いて好き放題触りまくる男。
細い腕で必死に抵抗しているのに圧倒的な力で捩じ伏せているのかびくともしないようだ。

最近、戦争がいつ起きてもおかしくない雰囲気のせいかこういう奴等が増えて治安が悪化しているとミナト先生が言っていたな。

だったら問答無用だ。

俺は力強く地面を蹴るとまず俺の前にいた男の背中を思いっきり蹴り飛ばす。
手加減をする必要がない上に油断していた男は面白い程遠くに吹っ飛んでいった。

「なっ…!?てめ、ぶ!!」

宙に浮いたまま体を捻って女の人を捕まえている男の顔面に回し蹴りを入れる。

たったその一撃で男は気を失ったようだ。

「あ…!」

男に抱かれていた女の人が巻き添えで一緒に倒れそうになるが、俺がすぐ様引き剥がすように男と彼女の体の隙間に腕を捩じ込んで抱きとめた。

「カカシさん…」

最初に蹴り飛ばした男も遠くで気を失っているようだ。

呆気ない。これじゃ戦力として数えられるかどうかも怪しい所だ。

「それから、俺は下忍じゃなくて中忍だ」

ま、もうすぐ上忍試験があるけどな。

「ほら。行くぞ」

女の人の手を引いてその場から離れる俺達。
しばらく歩いて男達が追って来てない事を確認すると

「なんですぐ俺に助けを求めなかったんだよ」

不安そうな彼女を睨む。

「ごめんなさい…
その、怒ると思うかもですが…カカシさんは子供だから…」

「俺が弱いと思ったのか?」

「相手は上忍の方で複数ですし…
カカシさんを巻き込めないと思って」

「あのな、あんなクズふたり俺がやられる訳ないだろ。
これからは何かあったらすぐ俺に言え。
そこらの上忍なんかに負けるかよ」

あんな奴らに彼女の体が好き放題触られた事に激しい嫌悪感を覚える。
彼女だってただやられっぱなしでいたわけじゃない。
男達から逃げ回ったり捕まっても両手を突っ張って必死に腕の中から逃げようとしていた。

「(ミナト先生にチクっておこう)」

未遂とはいえ里の人間に手を出したんだ。
降格か、最悪忍としての地位剥奪だろう。

「あの…助けてくれてありがとうございました…
カカシさん、まだ用事があるんでしょう?
久しぶりの非番なんですからゆっくり楽しんで下さいね」

「は?あっおい!どこ行くんだよっ」

俺と逆方向に歩きだす女の人の腕を慌てて掴む。
彼女はキョトンと不思議そうに振り返り

「お買い物がまだですのでお買い物に…」

「だったら俺と一緒に行けばいいだろ?!」

「ですがカカシさんは用事が」

「あのさ。ついさっきまで襲われてたんだぞあんた!
奴等だって腐っても上忍だ。探そうと思えばあんたなんてすぐ見つかって簡単に捕まる!
家に帰るまで俺の傍から離れるな!ちょっと考えれば分かるだろっ」

危機感のない奴!なんで自分の事になると急に鈍くなるんだよ!

「ですが、カカシさんせっかくの非番なのに私と一緒で…しかも買い物に付き合うなんて」

「誰があんたに合わせるなんて言ったんだよ。
俺の買い物にあんたが付き合うの。ついでにあんたの買い物に付き合ってやるだけ。
それで納得するか?」

俺のさり気ない提案に彼女は一瞬ポカンとし、だがすぐに意図が通じたのかにこやかに微笑んで

「分かりました。
何処へでもお供いたしますね」

「その従者みたいな言い方やめてくれ」

久しぶりの非番は、彼女とふたりで過ごす事になった。


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