拍手ログ

□NARUTO拍手ログ
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【子カカシと既婚女性】その6



「火影岩がまだ3つしかないなんて…」

「何言ってるんだよ。まだ三代目なんだから当然だろ?」

一緒に歩いていたら思わずと言った感じでぼやいた彼女の言葉に俺はその不自然な内容に眉をひそめてそう言った。

女の人はハッとすると慌てた様子で

「そ、そうですよねっ私ったら何を言ってるんでしょうか」

「普段からぼーっとしてるのに更にぼーっとしてたのか?」

「ふふっそうかもしれません」

まるで平和ボケしたようなのんびりさはもう慣れた。
ぼーっとしてるように見えて実は見てる所は見て意外と察しが良くて鋭いことも。

「(自分に関する事以外は、だけどな)」

あの日以来一緒に歩く事が多くなった。

夜遅くの買い物には絶対に付き合うし、俺が同行出来ない買い物はなるべく避け、どうしても必要な場合は早く済ませるように言ってある。

子供から言われてるというのに女の人はニコニコと「分かりました」と素直に従う。
大人としてのプライドとかないのか?…大丈夫かよこの人。

大体旦那は何をしてるんだ。
こういう妻を守る役目は旦那がするもんだろ?
なんで俺が…

「(手放したのは向こうだ。この人に何があっても知らないからな)」

嫌ならしっかり捕まえておけよな。

顔も知らない他人の旦那にイライラする俺。

「カカシーーー!!」

そんなイラついている所に、更にイライラさせる声が聞こえた。
その声の主はすぐ目の前に姿を現し

「勝負しようぜ!」

「ガイ…」

暑苦しい自称俺の永遠のライバル。

深々とため息をつき

「悪いけど今はそんな暇は」

「ガイさん!?」

女の人が驚いた顔でガイを凝視していた。

え?ガイと知り合い?

「え…」

そうでもないようだ。
ガイの方もキョトンとした顔で彼女を見ている。
どう見ても初対面の反応だ。

「オレを知ってるのか?」

「あっえ、えっと」

あたふたと口を押さえる女の人。

しばらく目を泳がせてオロオロとしているとやがてハッとし

「は、はい!火影さんがガイさんは努力の天才だって言ってたので噂になってまして…!」

いや、それ絶対今考えただろ。

「そうか!オレの名はそこまで知れ渡ってるのか!」

単純な自称ライバルに俺は頭を抱えた。

「それにしても可憐な人だ…」

「………」

女の人をジッと見つめるガイ。

嫌な、予感。

「決めた!
お姉さんっオレの熱い青春の相手になってくれないか!?」

「え?」

「オレと付き合ってほしい!」

「はい待ったガイ」

「なんだカカシっ邪魔するな!」

彼女とガイの間に立つ。
その事に怒るガイの前に俺は女の人の左腕を掴むとグイッと引っ張ってその指にある指輪を見せ

「見ての通り、この人結婚してるから」

「な!なにぃ!?」

「残念だったな」

女の人の腕をパッと離す。

「ほら、行こう。ガイに構ってたら日が暮れる」

「待てカカシ!その結婚相手はお前じゃないだろうな!?
ならばその女性をかけて勝負だ!!」

「はぁ!?俺なわけないだろ!?
どれだけ歳が離れてると思ってるんだよ!」

「歳なんて関係ないだろ!」

「関係あるだろ!
とにかく俺は結婚なんてしてないからな!」

これ以上付き合ってられないと、もう一度女の人の腕を掴むと俺は走り出した。

「おい!待てカカシ!勝負しろー!」

追ってきてるな。…撒くにはこうするしかないか。

女の人を抱き上げ俺は民家の屋根に飛び移るとしばらく民家の屋根の上を移動する。
やがて後ろから迫っていた気配は無くなった。

近くの地面に降りて周りを確認し

「やっと撒いたか」

ため息をついてぼやくと彼女を地面に降ろした。

降ろされた彼女は楽しそうにクスクスと笑っており

「ふふ、なんだか既視感が」

「は?」

「何でもないです」

さっきから変な奴。
慌てたり驚いたり笑ったりコロコロと忙しいな。
…ま、悪くないけどさ。

しかしガイにも困ったもんだ。
すっかり舞い上がっていたが大人であるこの人がガキの俺達なんかを相手にするはずないだろうに。

「…そういえば、さ」

「はい?」

「子供とかいないのか?」

「…私も夫も、欲しいとは言っているのですが…彼が忙しくて。
それに、私の体普通じゃないせいかなかなか出来ないんです」

「…普通じゃない?病気か何か持ってるのか?」

「それは言えないのですが…
あ、でも病気とか人に伝染すようなものじゃないです。
生まれつき持ってる…欠けてる?ものって事です」

「ふぅん」

子供はいないのか…

俺は彼女に背を向けると歩き出す。
女の人はそんな俺の後に続くよう歩く。

目的地へと向かいながらしばらく無言で歩くと

「…忙しいとか、理由にならないだろ」

「え…」

「俺なら…好きな人は片時も離したくないし、体の事とか気にさせないくらい幸せにするけどな」

「……………」

背を向けてても分かるくらい女の人が驚いているのが分かる。

俺は柄にもないことをどうしてか口走ってしまいそれを後悔するも後の祭りで、せめて顔だけは見られないよう意地でも彼女と向き合わない。

「…きっと、カカシさんと結婚する方はこれ以上にないほど幸せ者でしょうね」

嬉しそうな、優しい彼女の口調。

「(俺らしくもない)」

横恋慕かよ。

ガイのこと馬鹿にしてる俺が馬鹿だ。

まさか告白を目の前にして自覚するなんて。

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