そらのいろ
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カカシさんは急かす私を見てクスッと優しげに目を細めて笑うと、近くの椅子を引いてそこに私を座らせる。
そして対面になるようにカカシさんも移動して椅子に座ると
『いただきます』
ふたりで手を合わせて声を揃えた。
すぐに私はスプーンを持つとシチューに手をつけた。
とろりとまろやかな味わいに仄かな塩気のある甘み。
一緒に煮込まれた野菜は優しく解れて溶けるように噛み砕かれてゆく。
優しい味…まるでカカシさんみたい。
「美味しい…凄く美味しいです」
「そ?気に入ってもらえて良かった」
「今まで義両親に連れられて様々な料理を食べてきましたが
…これ以上に美味しいものはありません」
「義両親に連れられたってことは普通じゃ食べられない高級料理でしょ?
ただのシチューに大袈裟でしょ」
「本当です。
確かにあれらはあれでとても美味しかったですが…私はこのシチューが一番好きです。
この味が、一番です」
「そこまで言われると流石に照れちゃうな」
「ふふっつい感動しちゃって」
照れたように頬をポリポリと掻く彼に私はクスクスと笑う。
しばらく彼と楽しく話しをしながら食事を進めていく。
やがて彼がふと思い出したように
「そういえば、俺すず音の世界のことあまり聞いたことなかったね」
「そうですね」
「どんな所だったの?」
「うーん…そうですね…
科学や医療が発達してて…この世界でも見る電子機器が更に高度なものへ進化しそれが生活や仕事の上で必須となった世界、ですかね…
高層の建物が所狭しと並び、便利な時代になった分時間に追われる忙しそうな人々が増えたと言いますか…」
「へー。便利そうだけどちょっと窮屈そうなイメージだね」
「今はそうでも、実は昔は私の世界でも忍者はいたんですよ?」
「えっ」
意外そうに驚くカカシさん。
「と言っても、この世界の忍の方々みたいにチャクラを練って忍術を使うなんて魔法のような事は出来ませんが…
主に諜報や潜入の役目をしていたようです。
実際に使われていたかは分かりませんがクナイや手裏剣、まきびし等の忍具も発見されてるんです。
発見されているってことはおそらく使われていたんでしょうね」
「へぇ…チャクラがないのに出来るもんなのね」
感心するカカシさん。