最後の物語
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「ふあ…」
今日は少し寝不足だ。
夜は遅かったし朝は早かったし、その上どちらも激しく動くものだったから腰も重く感じる。
幸せだったから心は溢れる程満たされているのだけど。
「どうしたの?すず音さんが欠伸なんて珍しいわね」
「あっ」
花の手入れをしていたいのちゃんに言われ私は思わず口を押さえる。
いけない。ここお店だった。
「寝不足?最近眠れないの?」
「ううん!大丈夫。今日は確かに寝不足だけど今日だけだから…」
「ふーん?まあ…すず音さん昨日は誕生日だったし夜遅くまで人が祝いに…」
そこまで言いかけていのちゃんはハッとした顔をする。
そしてニヤニヤニマニマと楽しむような笑みをし、無駄に持っていたハサミをシャキシャキ鳴らしながら
「あーーーーーっ分かったーーーーー。
カカシ先生と仲直りしたんでしょー」
「え、えっと……はい…」
「そして?」
「へ?」
「そしてー?からのー?
ほらほらっ!つ い にーーーー??」
「もおーーーー!めっ!いのちゃんシーーーーー!!」
恥ずかしくて思わず叫ぶ私。
絶対に楽しんでいる彼女はケラケラと笑う。
「おめでとうすず音さん♡」
「もおお…っひとで楽しんで…!」
「やだー!お祝いする気持ちは本当よー!
成人の誕生日前にあんな事があってどうなるかと思ったけど、ちゃんと仲直りする辺りさすが綱手様公認ラブラブカップル!
よ!結婚まっしぐらー!」
「茶化さないのっ」
「きっと今日から毎晩よ♡しばらく出勤時間遅くする?」
「結構ですー!」
怒ってるのに彼女にはまったく効果はないようで楽しそうに笑いながら花の手入れの続きを始めた。
疲れたように私はため息をついてそれを見つめる。
一年以上続いた闘病生活から無事脱出した私。
一人暮らしを始めると同時に私は以前アルバイトとして通っていたいのちゃんの花屋に復帰することになった。
今度はアルバイトではなく、きちんとフルタイムで。
なので朝はヒナタちゃんの家に行ってピアノの練習をする、というカカシさんと同棲していた頃の習慣は残念ながら無くなってしまった。
ハナビちゃんもヒナタちゃんも残念そうにしていたけれど
最近ヒナタちゃんも任務に追われだしているから丁度よかったかもしれない。