最後の物語
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とりあえず手近にあった団扇を掴むとそれで私に扇ぎながら椅子を引っ張ってきてそれに座る。
「ご、ごめんね?今度はお風呂はやめようね?」
それを聞き私はふるふると頭を振るとうっすらと閉じていた目を開け
「とっても気持ち良かったです…
またしたいです…」
「はーーーーーもうっすず音ちゃん可愛い煽りのプロでしょこれ分かった絶対またしようネ!」
と、早口で言いながら何故か辛そうに顔を押さえるカカシさん。
「ま…次するなら冬かな…
いまは夏だし、さすがにちょっとがっつき過ぎたか…」
「がっつくカカシさんが好きですよ…?」
「やめてっやめなさいすず音ちゃんまた襲いたくなる。
その可愛いの今はやめようね?
可愛いこと言ってないで今は休んでっ
俺もエッチで積極的なすず音ちゃんが好き!」
くすくすと笑う私。
もちろん本心だが、最近わざと言う事で焦ったり慌てたり、照れたりする彼の様子を楽しんでる傾向が自分の中ではある。
何だか性格が悪く感じるからそろそろ自重したいけど…
やっぱり本心には変わりないからもうちょっとだけ続けてようかな?
しばらく団扇で扇がれ風を受けて体の熱を冷ます私。
だいぶ熱も冷めてきて体を起こすとカカシさんは椅子から立ち上がり、冷蔵庫から取り出した水をコップに入れて持ってくると私に「どーぞ」と差し出した。
「ありがとうございます」
ありがたく受け取ってお水を飲む。
冷たいお水がまだ若干火照っている体の中に入っていくのがよく分かった。
「もう平気?」
「はい…すみませんでした」
「いや、こっちこそごめーんね?
すず音とひとつになれるが嬉しくてたまらなくてちょっと暴走しちゃった」
「全然気にしてません。
…カカシさんとなら、お部屋の中なら何処でもしたいです…
私もひとつになれるのが嬉しいから」
ぎゅうーっとカカシさんに抱きしめられる。
ちょっと苦しいけどその苦しさも心地いい。
「あ、そうだ」
カカシさんが体を離す。
そしてポケットから封筒を取り出すと
「これ、今月の俺の生活費」
「わざわざすみません」
封筒を受け取る私。
未成年だからということで里から生活の援助を受けている私は、更にカカシさんからもお金を受け取る事を悪く思って最初は断ったのだが
そこはカカシさんが固く譲らなかった。
「成人して収入が入れば援助は切れる。まだ20では満足な収入は得られないんだから俺の金は貯金にでも回しなさい」と。
「ほぼ毎日すず音の家にいるのに二人分の光熱費や食費を負担させるのはちょっとね…
少し多めに入れてるから、余ったら好きに使っていいよ」
「貯金します。カカシさんのお金ですもん」
「俺の奥さん間違いなく世界で一番可愛い」
再び抱きつかれすりすりと甘えるカカシさん。