最後の物語

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「そうでしたか…苦労されたのですね。
噂の人に出会えたとつい舞い上がってしまいました。どうか許して下さい」

「いえ、そんな」

丁寧に謝ってくるトウホウさんに慌てる私。

「それよりトウホウのおっちゃん!
随分探したってばよ!」

「その声…やはりあの時の若い忍の方でしたか」

目は見えていないが声で方向が分かるようでナルトくんと向き合う。

「あれから足はどうですか?」

「もうすっかりいつも通りってばよ。
ありがとなっおっちゃん!」

「いえいえ。良かったです。
…それで、私を探していたとは?」

「我々の火影様が貴方を探していました。
案内しますのでご同行願えますか?」

トウホウさんはカカシさんの言葉を聞くとニコリと微笑み

「分かりました。案内をお願いします」

「助かります。
…ナルト、お前は他のチームにトウホウさんが見つかった事を知らせてから来い」

「ああ。…じゃな!すず音ねーちゃん!」

「はい。頑張って下さい」

手を振ってくれるナルトくんに私も手を振り返す。

あっという間にいなくなるとカカシさんも

「じゃ、またね」

「ええ」

歩き出すカカシさんの後ろを付いて行く前に「では」と私に一礼してくれるトウホウさん。

私も一礼を返したあとしばらく二人を見送り、そして図書館へと向かったのだった。






















「私に…調査の協力を?」

「そうだ。
我々がいま調査している突如記憶を無くす現象。
その原因は何なのか知る必要がある。
その為には記憶を無くした者の記憶が必要だ。
トウホウ殿は過去に数回に渡って記憶を失った者の記憶を取り戻したという実績がある。
協力してもらえないだろうか?」

綱手の説明を聞きトウホウは困った顔をする。

「木ノ葉の里の火影直々の頼み事ですから快く引き受けたいのは山々なんですが…
木ノ葉の里も通過点にすぎない故、あまり長居は出来ません。
事件解決までは協力は出来ませんがそれでも宜しいですか?」

「何処かへ向かう途中なのか?」

「はい」

「そうか…
仕方ないがトウホウ殿は木ノ葉の者ではない。強要は出来んか。
ならばせめてひとりの患者の記憶を取り戻す治療を頼みたいのだが」

「その記憶を取り戻す治療も必ずしも取り戻せるとは限りませんが宜しいですか?」

「構わん。ダメならその時は別の方法を探す」

「分かりました。でしたら協力しましょう。
短い間ですが宜しくお願いします」

「そうか!感謝するっ」

綱手の表情は明るくなりトウホウも難しい顔から穏やかに微笑む優しい表情に変わる。



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