最後の物語

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最近ハードな任務をこなしていたナルトは
大した戦闘もなく、強大な敵がいるわけでもない比較的穏やかな任務に少し舞い上がっていた。

野盗程度なら今のナルトでも余裕で勝てる。
緊張の糸を張り詰める必要がない気楽さ。
そして、盲目ながらも人々を助けるべく旅をするという尊敬にすら値する人物との出会い。
ナルトの興味は尽きずトウホウと積極的に会話をした。

うっそうと木々がしげる森の中。
まともな舗装がされていないが、馬車程度なら頻繁に通ってそうな広い通り道をナルト達は歩いて進む。

「トウホウのおっちゃんってすげーなぁ
本当に誰でも助けちまうのか?無償で?」

「どんなに偉い方であろうと、どんなに強い方であろうと
怪我や病気をすれば皆平等に病人です。もちろん無償です。
旅の賃金は私が調合した薬を売ったりして稼いでます。
主にそれは付き人の仕事として任せてますが…」

「そっか。だからあまり一緒にいないんだな…」

「よく働いてくれるいい子ですよ」

トウホウと仲良く話しながら歩くナルトと、医療についての話にサクラも興味を持ち

「その…トウホウ先生は何処かの里に落ち着くってことはしないんですか?
それだけの医療としての知識や実力があれば、どの里もきっと喜んで迎え入れてくれると思うんですが…」

「何処かに所属すれば色々と行動に制限がかかります。
私は今の自由な立場好きなんです」

「確かに、何処かの里に所属して
その後いつもの感覚で好意で治した者が実は敵の国の者だった…ってなると問題になりますからね」

と、話を聞いていたヤマトが言う。

「なんつーか…おっちゃんって目が見えないって弱点があるのにそれを感じさせないっつーか…
目が見えてなくても色々なものがちゃんと見えてるんだなぁ」

「ははは。見えてる、というよりも経験ですね。これは」

「ちなみにオレ、カカシ先生の弱点知ってるってばよー!」

「あー?
イチャイチャタクティクスならもう読んだからネタバレは効かなーいヨ?」

先頭を歩いていたカカシがそう言いながらナルトを振り返って見る。

ナルトは「にししっ」と実に愉快そうに笑った。



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