最後の物語
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「?…カカシ先輩、何か用事ですか?」
「ん?あー、今からすず音の弾き語りコンサートなのヨ。
ま、コンサートって言っても集まるのはいつものメンバーだけどね」
「ひ、弾き語り?すず音さんピアノの他に歌も歌えるんですか?」
「大勢集まる上にピアノのある日向家は使えないみたいでね、たまたまヒナタが倉庫で見つけたギターを調節してそれを弾いて歌うんだって。場所は空き地っていうから一緒に行く?」
「なんていうか…すず音さんも十分凄い人ですね」
「ま!忍で音楽系に特化した奴なんてそうそういないからな。
普段から戦いに明け暮れ、忍術ばかり使ってる俺達からしたら音楽に詳しい子って物珍しいよネ」
「そうですね。…それじゃ、ボクも一緒に行きますか」
「言っとくけどすず音は見世物じゃねぇんだよ…」
「ほんっっとめんどくさいですねこの先輩」
そんなじゃれあいのような会話をしながらカカシとヤマトは一緒に歩き出し空き地へと向かった。
「んもーっ相っ変わらずカカシ先生遅いんだから!
このままじゃ日焼けしちゃうわっ」
「いつもの事だけどよー。
この広場日陰がないから待つにはちょっと暑いよなー…」
「ごめんね。
もっと別の場所があれば良かったんだけど…
今から公園とかに変更する?
あまり沢山の人に見られる場所は恥ずかしいんだけど…」
「すず音さんは悪くないですよ!」
「悪いのはカカシ先生だからなっ
そんなカカシ先生の為に場所を変える必要ねぇってばよ!」
すっかり元気になったサクラちゃんとナルトくんの様子に私は安堵もあってにっこりと微笑む。
集まった場所は空き地。
ナルトくん達と初めて会った場所だ。
あれから何年も経つのに相変わらず何も建てる予定はないのか、除草という僅かな手入れがされているぐらいで
積み重なっている角材は初めて見た時から数も場所も変わらず年季だけが重なっていく。
雨風に晒されカビが生えた古臭い角材。
しかしそれ以外に座る場所はなく、仕方なく私はそれに座ってギターを抱えている。
ヒナタちゃんが倉庫から発掘してくれた古びた弦ギター。
弦もしっかりしており少し拭いてあげてチューニングさえしっかりすればまだまだ使えそうだった。