最後の物語
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「よーお前ら!集まってるなー?」
その時、元気な声と共に空き地に姿を現したのはガイさんとヤマトさん、そしてカカシさんだった。
「丁度そこでカカシと会ってな!
オレもすず音さんの美しい歌声を聴きにきたぞ!」
「うおおお!ガイ先生!」
「ううう美しいって…」
なんだかそんな事を言われると恥ずかしい。
「待たせてごめんね」
と、謝るヤマトさんの横でカカシさんがいつものにこやかな笑顔で
「やー諸君。お ま た せ〜。今日は」
「えー!?ガイ先生って歌なんて歌うんですか!?」
「意外ってばよ」
「何を言う!
オレの歌声は里中に響き渡るほどの透き通った歌声だぞ!」
「そうですよ!ガイ先生の歌声は里一…いえ!世界一の歌声です!」
「ちょっナルトー。サクラー。
…え、なに。言い訳すら聞いてくれないわけ?
ちょっと冷たいんじゃないのー?」
何を言ってもカカシさんの方を向かないナルトくんとサクラちゃんに彼は「俺の威厳が」とガックリ項垂れる。
「ていうか、ガイの歌声なんて単に気持ちが盛り上がり過ぎて泣き喚いてるだけじゃないのヨ」
「なんだとう!?
それほど気持ちが込められている歌声だということに何故気付かんカカシよ!」
「正直うるさいのよアレ。
もうちょっと聴く側のことも考えて歌ってほしいのよねー」
「これだから素人は困る!
いいか?あの歌い方はだな…!」
「ハイハイ!分かったからガイ先生!
今日はすず音さんの歌声を聴きにきたんでしょー!?
ほら!静かにしなきゃ始められないじゃない!」
テンテンちゃんに怒られガイさんは「ああ、そうだったな」と言ってあっさり静かになった。
一斉にみんなに見られ私はその視線に恥ずかしくなり目を逸らしながら
「それじゃあ…あの、始め…ますね」
「すず音さんリラックスリラックス!」
「すず音ねーちゃん頑張れ!」
サクラちゃんとナルトくんと声援に私は顔を上げてにこっと笑い返す。
ほんの少し解れた緊張。
少しの間目を閉じて気持ちを落ち着かせると、ゆっくりと弦を弾き始めた。