山守月天子

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カカシさんは味噌汁が入ったお椀を手に取り流し込むようにそれを食す。
口をお椀から離すと

「じゃ、今夜見てみる?」

「え?」

「星空。
今夜川辺でバーベキューってのをするんでしょ?
すず音の世界にある文化に触れたいって言うナルト達の希望で」

ニコッと笑うカカシさん。

「そうですね。この世界ならきっと川辺でも星は綺麗に見えますよね。
その時見てみましょう」

「俺は別任務で少し遅れてくるけど
ヤマトとナルト達は早めに任務が終わる予定だから準備の手伝いはヤマト達に任せてるよ。
ま、俺もなるべく早く帰るよ」

「色々と忙しそうなのにすみません」

「言い出したのはナルト達なんだし気にしなーいの。
しかし、第七班限定参加とはね…
相変わらずすず音はうちのチームが好きね」

「ナルトくん曰く、私は第七班のお姉さんみたいですから」

「そんで俺のお嫁さん」

「お迎えはまだですか?婚約者さん?」

「もう少し待っててちょーだい。早く迎えに行きたいなぁ」

焦れてるのか子供のように口を尖らせる彼を見て私はクスクスと笑う。
それを見てカカシさんも一緒になって笑い、今日という一日は穏やかな雰囲気で始まったのだった。
















「木遁!」

素早く印を結んだヤマトさんの掛け声と共にその両手が地面に押し付けられる。
直後、彼の目の前には木製のベンチが誕生した。
木製の温かみがあるどこか可愛らしいポップなデザインのそのベンチは、急ごしらえとは思えないほどしっかりとした造りで小石の多い川辺でもガタつくことなく立っている。

「凄いです!さすがヤマトさん!」

「いやぁ、このくらいどうって事ないですよ」

「折りたたみ椅子が必要ないってカカシさんが言ってたのはこういう事だったんですね」

「カカシ先輩…ボクは椅子要員ですか」

ガックリと項垂れるヤマトさん。

「すず音さん、網のセットが終わったよ」

「ありがとうサイくん。
火をおこすの大変だったでしょう?」

「ボク達忍びには忍術があるからそこまで…」

「本当に便利ですね」

「でも、普通の焼肉とバーベキューの違いが分からなくて術に集中出来なかったよ」

「あはは。そうですね、基本は同じです。
焼肉を外で食べるってだけです。
元々は外国の文化で豚の丸焼きを作ったけれど家族だけでは食べきれないから、野外に集まった人達と一緒に飲食をする。
それが現代風にアレンジされたものなの」

「なるほど」

「豚の丸焼きとは…すず音さんの世界の外国人はなかなか豪快ですね」

「本当に。
私が住んでた国は魚の食文化なので動物を丸焼きなんて発想なかなか無かったでしょうね。
…あ、でも魚の串焼きなんてありますし
あれも言い換えれば魚の丸焼きなのでそうでもなかったのかも?」



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