山守月天子
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「ごめんねーちゃん!オレってば一楽の割引券家に忘れちまった!
今から取りに行くから待ってて!!」
そう言ってナルトくんは元気よく走って行った。
任務が夜からだから一緒にラーメン食いに行こうぜ!
と、家で引き籠り状態の私を誘い出しに来てくれたのはナルトくん。
「お昼ご飯どうしよう?」と考えてた時にタイミングよくやって来たのだ。
胸の苦しさは未だ続いてて今朝も起きた。
痛み止めは一応は効いているのか飲めば治まってくれるので飲み続けている。
痛み止めの効果はしばらく続くが、一応念の為に薬も持参して彼の誘いを受けた。
そしてナルトくんの行き付けのラーメン屋に到着した途端ふと思い出したのか「あー!」と突然叫び、冒頭の台詞。
バタバタと走り去るナルトくんを見送ってひとりで先に暖簾をくぐってカウンターに座るとお水が前に置かれる。客は私ひとりだけだった。
テウチさんとアヤメさんのふたりとお水を飲みながら談笑しナルトくんを待っていると
「そこのお嬢さんちょっといいかのう?
少々尋ねたいのだが」
声をかけられ振り返るとそこには大柄の男性。
長い白髪に歌舞伎役者のような化粧をした男性…どこかで見た、ような。
「…お?おお?」
男性も私を見てずずいっと目の前まで顔を近付けじっと見つめると
「お前もしかしてすず音か?」
「えっ」
「わしじゃわし。ナルトの師匠の自来也だ。
いや〜何年ぶりだ?久しぶりだのォ!」
「あっ自来也さん!お久しぶりです!」
私もハッと思い出し慌てて立ち上がると頭を下げた。
「見慣れない綺麗なお嬢さんがおると思って声をかけてみたが…やはりわしの目に狂いはなかったのォ!
綺麗な女性に成長しおって。まるで薄紫色の可憐な花のようだ。
ま、元々その素質はあったがな」
「そ、そんな…ありがとうございます」
照れて目を逸らしながらも礼を言う。
「…が、やはりこれだけ美しいと早々に手を出されるか」
言いながら自来也さんは私の左手にある婚約指輪を見ている。
「予想はつくが相手は誰だ?」
「あの、カカシさんです」
「やはりか。あのむっつりめ。噂通り足や忍術の速さと同等に手も早いのォ。
用心深く指輪なんぞという首輪もつけおってからに。
おーおー。その指輪から威嚇するカカシが見えるようだ。
咲いたばかりの初々しい可憐な花をさっさと手折りおって」