山守月天子

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「まあそう睨むな。
実はのォカカシ…最近妙な噂が立ち始めてな」

「妙な噂ですか?」

「『神隠し』という言葉は知っておるか?」

「人が急に消えるという…あの?」

急にホラーちっくな単語が飛び出してラーメンを啜っていたナルトくんは顔を顰める。
そして表情は「やめてくれ」という意志を素直に出しながら、だが声はまるで諌めるようにと表情と声が一致してない様子で

「なーエロ仙人にカカシせんせー。
それ一楽でする話じゃねぇってばよ。
すず音ねーちゃんだっているのにさぁ」

「すず音は怖い話とか苦手?」

と、私を見て尋ねるカカシさんに私は

「どうでしょう?あまり意識した事ありませんが…
幼い頃施設で男の子達が、夏の風物詩とか何とか言って女の子達を怖がらせる目的で怪談話していましたね。
話の内容の方が興味深くて恐怖心云々は覚えていません。
肝試しとかお化け屋敷とかはちょっと遠慮したいですが…」

「つまり怖い話は平気ってことネ」

「え゛!?すず音ねーちゃん平気なの!?」

「じゃっ話を続けるかの」

「ちょっ待っ!ストップエロ仙人!!」

「やかましいわナルト!静かにせんか!
お前が考えてるような内容ではない!ったく」

尚も抵抗しようと声を上げるナルトくんに私は可笑しくなってクスクスと笑う。
そんな私を見た自来也さんがニッコリと満面の笑みで「すず音は本当に美しくなったのォ」なんて言うものだから、恥ずかしくて慌てて笑い声を抑えた。

「それで?神隠しがどうしたんです?」

と、カカシさんが話の続きを促す。

「湯の国でもっぱら噂になってるものでな。
ある日唐突に人が消えるんだと。
それも見境無く、老若男女忍であろうと無かろうと全てだ。
元々湯の国には神隠しが起こる場所と言って、所謂心霊スポットなるものが存在していたらしいが、噂話だけでどれも信憑性はなく、その場所というのも曖昧。
人が消えたという噂も以前から有るには有るが随分と昔の話だそうだ。それこそ、火の国が存在してたかしてないか…それほど迄にな」

「噂というよりもはや神話や伝説ですね。
それが最近になって噂され始めた…と?」

「夏の時期だから怪談で盛り上がるという程度ならわしも特に気にしなかったが、湯隠れの忍が任務の途中で次々姿を消している。
あの国は木ノ葉の忍もよく出入りする国だ。気になってちょいと調べに行ってみたんだが」

自来也さんがゴソゴソとズボンを漁り、やがて取り出した物をテーブルの上に置く。

「調べてる最中に見つけた物だ。
地面に落ちていたのをこっそり持ち帰った」

それは手の平サイズの黒い四角い箱のようなもの。一本のアンテナが刺さってある。
少々古さを感じさせるデザインと作りだが、私は何となく自分の世界で見た事ある録音機のような物という印象を受けた。



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