山守月天子

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「事件の調査をしている湯隠れの忍達にとっては貴重な資料でしょうに」

「なーに!後で綱手の奴に渡して合同調査という形に持っていってもらえば問題なかろうのォ!」

テーブルに置かれたそれを手に取りながら目元だけで苦笑するカカシさんに自来也さんは大きな声でゲラゲラと笑った。
カカシさんは手に取った物をジロジロと観察し

「録音機能付きの無線ですか。何か録音されてますね」

「待て。聞くならイヤホンをしろ。
…内容がさすがにすず音には刺激が強すぎる」

「え…」

彼はチラッと私を見ると自来也さんから差し出されていたイヤホンを受け取り

「あのっお邪魔でしたら、私帰ります。
ラーメンも食べ終わりましたし」

「でもすず音は今ひとりで出歩くのは禁止されてるデショ」

チラッとナルトくんを見る。
彼は申し訳なさそうに眉を下げ

「オレ…録音が気になるってばよ」

「家に帰るくらい一人では許されませんか?」

「その帰宅途中に狙われたんだからダーメ」

そう言えばそうだった…

「気にしなくて良いよ。
多分すず音に聞かれてはいけない極秘の内容ってわけではないだろうからね。
…ま、一般人に聞かせるにはまずいものって事デショ」

秘密ではないけど聞かせちゃまずいもの…とは?

「一体どんなものなんです?」

「え?知りたい?聞かない方がいいよ?」

「でも、想像つかないもので…」

「んー…例えばー……断末魔」

一瞬言葉の意味が分からず硬直する。その後顔を顰めてゾッとする。

「ほらぁ聞かない方がいいって言ったのに。もー」

ため息をつき彼は私の肩に腕を回すと、落ち着かせるように抱き寄せて頬を寄せてくれる。

「ごめんなさい…」

「好奇心は猫をも殺すって言うでしょ。
特に忍に関してはあまり首を突っ込まないように。俺との約束」

「わかりました…っ」

「おーおー見せつけおって。
カー!せっかくの美しく可憐な花がカカシなんぞに…あー!勿体ない!実に勿体ないのォ!」

「じっ自来也様…」

「どうでもいいからカカシ先生早く聞いて貸してくれってばよ」

「はいはい」と、カカシさんは私から離れるとイヤホンを耳にはめて録音を聞き始めた。
音漏れは全くない為私にはどんな内容のものなのかさっぱり分からない。
いつも通りの表情で眉一つ動かすことなく淡々と聞いていたカカシさんはやがてカチリとスイッチを止めるとイヤホンを外し

「ほら」

そう言ってナルトくんに投げ渡した。



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