山守月天子
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「すず音ねーちゃん事、オレは本当に大好きなんだ」
走りながらポツリと零すナルト。
その場の全員が無言で言葉の先を促す。
「まだガキの頃に一度だけねーちゃんに聞いた事があるんだ。
オレの中に化け狐がいるって…里を壊滅させる程の強い力を持った化け物がいるって。
そんなオレを、ねーちゃんがどう思うのか知りたかった」
『………………』
「ねーちゃんのこと試したんだ。
優しいねーちゃんでも、オレが化け物だと知ったら…もしかしたらって。
優しいのは表面だけかもしれねぇって。
優しいのは里の事やオレの事、何も知らないからかもって試したんだ」
「ナルト…」
自分と同じ班として行動していた頃の話なのに、ナルトがまさかそんな事をしていたとは知らずサクラはぼやいた。
「すぐに後悔したよ。
ねーちゃんはさ、本当に優しい人だって分かった。
『そっか。正直、どんな化け物なのか正確に想像出来ません。
でも私はナルトくんはナルトくんだと思います。
いつも元気なナルトくんが大好きだよ』
そう言ってくれた。
こんなに優しいすず音ねーちゃんを試そうとしたオレがバカだったって、すっげー後悔した。
そんですんなりオレをオレとして見てくれたねーちゃんの言葉がめちゃくちゃ嬉しくてさ…!こんなの初めてだって。
それからねーちゃんのこと大好きになったんだ!」
明るく笑うナルトの顔と微笑ましい話の内容にサクラだけでなく、密かにカカシもマスクの下で微笑んだ。
「だからっ絶対にねーちゃんには幸せになってほしいんだ!
それを邪魔するやつは許さねぇ!
何がなんでもっすず音ねーちゃんを助ける!」
「そんなの当たり前よっ
カカシ先生と婚約までしてるんだから!
絶対絶対カカシ先生と結婚して幸せになってもらうの!」
「カカシ先輩責任重大ですね」
「すず音さんを泣かせたらカカシさんの命が無くなりそうですね」
「プレッシャーかけてくるんじゃない」
メンバーに茶化されつつも疲労が何処か癒されるようにも感じるカカシ。
やる気も少し出たのかキッと前を強く見据えると
「んじゃ、すず音の為に休憩はもう少し先に進んでからにしますか!」
「おう!」
『はい!』
五人の走るスピードは先程よりも更に速くなり、街道を走り続けた。