山守月天子

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「貴方は…?」

「ああ…あの頃と比べたら確かに風貌が変わってて分からないよね。
それにこうして挨拶するのも初めてだ。
初めまして。ボクは薬師カブト。
名前に聞き覚えくらいはあるんじゃないかな?」

「薬師…カブト…?
えっと…確か何年か前私を召喚した術者の方を探していた大蛇丸さんの部下の方…だったような」

「そう。中忍試験の本戦会場できみを殺そうとし、きみを睨んだ大蛇丸様の部下だった男さ。
もう大蛇丸様は死んだからフリーなんだけどね」

その話を聞き、あの時向けられた氷のように冷たい視線を思い出してふるりと身震いをする。

「……そのカブトさんが今更私に何の用でしょう?
術者は貴方が殺したとカカシさんに聞きました。
だからもう私を狙う理由は無いのでしょう?」

「用がなくなったのは大蛇丸様であってボク個人はきみに興味津々さ。
医療忍者としては気になってるってあの時も言っただろう?」

「っ……」

そう言えば…確かにそう言われていたような…

「やっと硬いガードからきみだけを引き抜く事が出来た。
結構苦労したんだ。一般人だから幾らでも機会はあるだろうと思ってたけど、あのカカシさんとまさか婚約に至るまでの仲になっていたなんてね。
おまけに他の忍達とも仲良くしているせいで君の周りには常に忍がいる状態だった。カカシさんだけでも厄介だっていうのに」

「なんの…話ですか?」

「木ノ葉からきみだけを引き抜いて此処に連れて来たのはボクだって事だよ。
まあ…正確には協力してくれた人がいたんだけどね」

「え…?」

「きみはちゃんと自覚してるかな?
この世界の人間じゃないきみは何かと狙われる。
その理由はきみ自身への興味本位や異世界への干渉等様々だろうけど、きみを守ろうとする者がいる以上争いを呼び寄せる存在だ。
大袈裟に言えば災いをもたらす存在なんだよ」

「………………」

「温厚な火影やきみに好意的な忍達に囲まれてるだけで、気付いていないかもしれないけど
きみを里から…寧ろ国から追い出したいと思っている人は幾らでもいるんだよ。
ボクは今回、きみを追い出したがっている人を手助けをしたんだ。報酬としてすず音を差し出すという条件で」

「っ……!?」



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