山守月天子

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「その人から離れろ!」

頭上から声が響き思わず上を見上げるより先に手首の拘束が解かれ、私の肩をトンッと押して勢いをつけると目の前にいたカブトさんが遠く離れる。
その間にドス!と音を立てて一本のクナイが地面に突き刺さった。
直後に私の目の前に人影と小さな影が現れる。

「ネジくん…パックン…!」

「無事か!」

「何故一人で出歩いたんだすず音!
用があれば拙者を起こせと言っただろう!
お前に何かあればカカシに合わせる顔がない!」

「ごっごめんなさい…!
お水を買いに行くだけだったから…」

「説教は後だ!」

「でもっどうして…どうやって此処に」

「パックンとオレの白眼があれば居場所などすぐに突き止められる。
元々行方が分からなくなった場合を想定してオレが護衛に選ばれたのだからな。
眠ってはいたが木ノ葉からの速達の手紙を届けにきた鷹で起こされた。
お前が今まで飲んでいた薬は毒薬だと分かったからそれを伝える為に部屋に訪れたんだが」

私がいなかった。という流れなんですね。

「湯の国へは意図的に何者かがすず音を誘導している可能性があると手紙に書かれていたが、やはりそのようだな。
すず音に手出しはさせん!」

ネジくんの白眼がキッと強くカブトさんを睨みつける。
カブトさんはそんなネジくんを見て静かな笑い声からやがて大きく笑い声を上げ

「別の男にもう色目を使っているのかい?
やっぱりきみはその素質があるよ」

と、私を見ながらそう言ってきた。

「なんの事です?」

「教えてあげよう。
きみは本当は五人の兄妹がいてその内の下から二番目がきみだ。
兄妹は皆死んでいる。
というよりも、母親が殺したんだけどね」

「………?」

「きみの実の母親は自分の性欲に素直な女性でね。
色々な男に色目を使い簡単に股を開いては、腰を振って良がり欲のまま快感に身を任せて対策せず中に出してもらうことを楽しむ痴女なのさ!
きみを産んだのはほんの気まぐれ。
いちいち堕ろすのも金がかかるから一度産んで捨てたら金がかからないのではと考えて生まれたのがきみさ!
父親は色々な男に股を開いたせいで分からないが、きみは確実にそんな女の血を受け継いでいる」

「……………」

「どんなにお嬢様ぶっても。
どんなに育ちの良いお姫様ぶっても。
どんなに良い子ぶっても!
お前は!己の欲を満たす為に様々な男に色目を使って腰を振られるのが好きな女の娘なんだ!」

「……………」

「少しは心当たりがあるんじゃないのか?それがその証拠さ」

私が

エッチが好きな理由って

エッチに積極的な理由って

まさか……



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