山守月天子

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「なぁサク」

やり切れない表情をしていたナルトくんが寂しげな笑みを浮かべて一歩サクさんに近付く。

「せめてサクだけでも木ノ葉隠れの里に来いよ。
行く宛てが無いんだろ?
だったらさ、一緒に行こうぜ。
ネジもそう言ってたじゃねぇか」

「ナルトさん…」

「もう一人ぼっちで戦わなくて良いんだ。
里に来ればオレ達がいる。
何かあったら絶対力になるからさ」

「……………」

少しの間目を伏せるサクさん。
やがて視線を上げるとニコリと微笑し

「…ありがとうございます。少し考えさせて下さい。
丁度今日から人里でお祭りもあるようですし…」

そこにタイミング良くポン!ポン!と花火の様な音が空に響き渡った。
よく聞くお祭り開催を報せる花火の音だ。

「祭りがあんのか?」

「ああ。湯の国で毎年行われる祭りのようだ。
すず音と観光地を歩いている時沢山の宣伝の貼り紙を見かけた」

と、ネジくんが説明する。
それを聞いたナルトくんが「へー」と答えた。

「すず音さんも含め皆さんの気分転換にもなると思います。
僕のせいで皆さんには大変な思いや嫌な思いをさせてしまいましたし…」

「そんな事ねぇよ」

「お祭りは今日から三日間です。
その三日間ですず音さんの体調が整い、出発する事が出来るようなら…
もう一度僕の元を訪ねて下さいませんか?
その三日間で、答えを出しますので」

「分かった。絶対聞きに行くからな。
オレ…期待してるからな。一緒に木ノ葉の里に来てくれるってよ」

サクさんがもう一度ニコリと微笑む。

「本当に…最後までありがとうございました」

そうして私達はサクさんに見送られて下山した。

月の神秘が眠る、山彦火山を…















カブトさんに攫われてからどのくらいの日数が経ったのか分からないくらい、久しぶりに私は泊まっていた旅館に帰ってきた。

帰ってきてすぐ私はサクラちゃん立ち会いの元お風呂に入って体を綺麗にし、お風呂から出てから少しの間サクラちゃんによる問診。
それが終わると敷かれていたお布団に寝かされた。
一眠りしている間に栄養たっぷりの食事を用意するとの事。
サクラちゃん以外の皆さんは里への報告書作りに今後の打ち合わせにと慌ただしく動いている。



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