山守月天子

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「みんなネジさんが泊まっていた隣の部屋で仕事してるからこっちは静かだと思うわ。
ゆっくり体を休めてねすず音さん。
念の為護衛として私が付き添うわ」

「ありがとうサクラちゃん…」

そこへコンコンと扉がノックされる。
サクラちゃんが気付いて扉の前に立つ。

「はい?」

「オレだ」

「ネジさん?」

ガチャリと扉を開けるとネジくんが立っていた。

「少しだけすず音と話せるか?」

「ええ。まだ起きてるから大丈夫ですよ。
すず音さんも大丈夫?」

「はい。大丈夫です」

「邪魔をする」

そう言ってネジくんが部屋に入ってきた。

「私出てましょうか?」

「いや大丈夫だ。すぐに終わる」

ネジくんが布団に座る私の横に来ると、その場で何と土下座をした。

私はもちろんサクラちゃんも驚いた。

「え?ね…ネジくん?」

「すまなかった。
お前の護衛の為に一緒に居たのに守る事が出来なかったどころか、危険な目に遭わせてしまって」

「そっそんな!
元はと言えば勝手に一人行動した私が原因なんです!
頭を上げて下さいネジくん。貴方は何も悪くありません!
それに…あんな特殊な結界?があったなんて誰も予想出来ませんでしたし…」

「予想外の事でも対処して守り抜くのが護衛任務だ。
そんな事は言い訳にはならない。
命を懸けて護衛対象を守る。それが忍の護衛任務というものだ」

「ネジくん…」

「無事で本当に良かった…」

「……私こそ…本当にごめんなさい。勝手な行動をして…
お水をちょっと買いに行くだけだったから…」

やっと顔を上げてくれたネジくんが微笑む。

「気にするな。
護衛対象の行動に合わせるのも護衛する者の仕事だ。
オレは今回それを怠った結果こんな事になったんだ。お前こそ何も悪くない」

「護衛される側も、護衛され慣れてないとどう動いて良いのか分からないって聞きますし
すず音さんこそあまり気にしなくて良いですよ」

と、サクラちゃんもフォローしてくれる。

「帰りはカカシ先生やナルト達もいる。どうか安心してくれ」

それ聞き私はフルフルと頭を振る。
ネジくんは驚いたようで静かに目を開いて
私を凝視していた。
私はそんな彼に微笑んで

「ネジくん一人だけでも十分安心出来て心強いです。
もしまた機会があったら…ネジくんに護衛してもらいたいです!」

それ聞いた彼は「おいおい」と苦笑する。

「オレは構わないがカカシ先生の前では言わない方がいいぞ?」

「そーですよ!カカシ先生、絶対拗ねちゃいますからっ」

「ほんとですね。気を付けなきゃ!」

そして三人同時に笑う。
その時隣の部屋から作業をしていたカカシさんのクシャミが聞こえて、また私達は笑った。


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