山守月天子

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次々と上がっていく花火。
それを…カカシさんと見る事が出来ている嬉しさ。

きっと無理だろうと諦めていたのに叶えられた願い。

「…綺麗ですね。カカシさん」

「ああ。綺麗だな」

次々と休む間もなく上がり続ける花火を眺め
そして、ふと私はバッグの中に彼に渡そうと用意していた物を思い出す。
きっと渡すなら今だ。

「あの…カカシさん」

「ん?」

彼を見上げると彼は視線を花火から私へと変える。

私はバッグから丁寧に包装された小さな長方形の箱を差し出した。

「誕生日おめでとうございます」

「え」

「本当は当日渡したかったのですが、私が熱で寝込んでしまったから遅くなってしまって…ごめんなさい」

「いや、別にそれは良いけど…
そっか。そういや誕生日だったな俺。
バタバタしててすっかり忘れてた」

「色々ありましたから仕方ありませんよ」

「わざわざプレゼントを用意してくれてたのか。
いやぁー嬉しいな。ありがとうすず音。
何だろうな。開けてもいいか?」

「はい。…喜んでくれると嬉しいのですが…」

「すず音が用意してくれたプレゼントなら何であっても俺は嬉しいよ」

カカシさんはそう言いながら私の手からプレゼントを受け取ってくれた。
そしてガサガサと包装を解いていく。

ネジくんとパックンを連れ回し、悩みに悩んで選んだプレゼントは結局最初に選んだ物を彼に贈った。

パカリと長方形の箱の蓋をカカシさんが開ける。

その中に入っていたものは

「…………栞?」

「はい。カカシさん本を読むのが好きでしょう?
でも使ってる栞はお店で本を購入した時無料で頂ける物を使っていたようでしたので、せっかくだからちゃんとした栞を贈りたくて」

「確かに栞に拘った事はなかったなぁ」

「それにその栞、中に好きな写真等を挟む事が出来るみたいなんです」

「それで透明なのか」

「カカシさん写真を飾るのが好きみたいですし…ずっと以前は撮ってましたもんね?スケアさん?」

「はははっいやぁ懐かしいな」

「カカシさんの好きな本に、カカシさんの好きな写真。
二重に楽しんでもらえるかなって思って…
でも、せっかくの誕生日プレゼントなのだからもっと特別な物を贈れないかって
ずっとずっと悩んでたんです。
ネジくんとパックンを連れ回しあちこちお店を見て回って…
でも、結局それにしてしまいました」



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