山守月天子

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湯の国から旅立って一週間程。
私達は久しぶりに木ノ葉隠れの里へ帰ってきた。

見慣れた『あ』と『ん』が書かれた大きな門を潜り、里の久しぶりの雰囲気と空気に私はホッとする。

「ああ…!やっぱり木ノ葉の里が一番落ち着きます」

「やっと帰ってこれたってばよ!」

「すず音さんもお疲れ様〜!疲れたでしょ?」

「ちょっとだけくたびれました…」

ハァ…と大きく息をつく私にネジくんが

「途中休憩を挟んだとはいえずっと歩き通しだったからな。無理もない」

「私で良ければおぶってあげたのに」

「いえいえ。行きは歩けたんですから大丈夫ですよサクラちゃん」

「意外と根性ありますよね。すず音さんって」

「ふふっありがとうサイくん」

「さてと、んじゃっこれからの事説明するぞ」

カカシさんが切り替えるようにそう言って私達を見た。

「ナルトとサクラはこのまますず音を家まで送ってやれ。
そのまますず音の護衛。護衛解除のタイミングは俺が今から火影様に聞いてくる。
すず音は家に帰ったら体を休めるように。
あ、まだ一人での外出許可は出てないから買い物とか行っちゃダメよ。
どうしても行くならナルトとサクラを一緒に連れて行きなさい。
多分後日一緒に火影様の所に行く事になるから、渡したいお土産とかあるなら整理しておくといいかも。
ヤマトとサイ、そしてネジくんは俺と一緒に火影様への報告。以上だ」

「分かりました。では先に帰ってますねカカシさん」

「うん。また後で」

ナルトくんがカカシさんが持ってくれていた私の荷物を受け取る。

「さっ 行きましょすず音さん」

「はいっ」

「ねーちゃん疲れてんだろ?帰ったらすぐ休まないとな」

「そうですね」

「すず音」

その時、ネジくんに呼び止められ私達は振り返る。
見ればネジくんが私を見ておりその背後には既に歩き出しているカカシさん達の姿。

「…ネジくん?」

「カカシ先生と…幸せにな」

「……!」

急な事で私は驚いたけれど、ネジくんからのその言葉は素直に嬉しかった。

私は彼にニッコリと笑いかけると少し照れながら

「はい…!」

ネジくんの笑みが何となく深まった気がした。

「ネジくんも護衛ありがとうございました。
ずっと私と一緒で大変だったでしょう?」

「気にするな。それが仕事だからな」

「……ネジくんも…いつか好きな人と幸せになれる日が来る事を願っていますね」

「ああ…ありがとう」

彼はそう言って私達に背を向けカカシさん達の後を追う。

サクさんとの事を正直色々と聞いてみたかったけど、何となくそれは野暮な気がして聞けなかった。

だから私はその背を無言で見送った。
とても逞しくて、新しい一歩を踏み出したような白い背を…
























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