山守月天子

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火影の部屋に着きカカシ達はこれまでの事を報告した。

綱手はそれをいつものように腕を組んでジッと静かに聞いている。

「…と、まぁこんな所です。詳細は後日提出する報告書をご覧下さい」

さすがに口頭で細かな所までの報告は出来ずざっとした流れを報告していたカカシ。
それでも綱手にとっては分かりやすかったようで「十分だ」と一言言うと

「ダンゾウから『異世界の風景が消えた』と報告があってな。
おそらくカカシがカメラの回収をしたのが原因だろう」

「その風景も結局異世界の風景ではなくこの世界にある山彦火山の風景でしたしね。
撮影者が幻影術にかかっている事に気付いておらず、それで報告とカメラ映像に食い違いが出て勘違いしたのでしょう」

「しかし先輩…その撮影者は殺されたはずです。
どうやって報告していたのでしょうか」

「あの結界鳥や動物は自由に出入り出来てたみたいだし、鷹は機能してたんじゃないの?」

「なるほど…それなら確かに報告は可能ですね」

カカシとヤマトの話しが終わってから綱手が話しを続ける。

「それからダンゾウは『これ以上異世界からの干渉を避ける』という目的で、すず音を召喚した術者のアジトを焼き払ったのだ」

「そりゃまた…急ですね」

「結果的に今回の事件は異世界は関係無かったとはいえ、あそこには術者が取り扱っていた機材や巻物等様々な物があったからな。
術者の特別な血とすず音が必要だが…まぁややこしい事が起こる前に潰しておきたい気持ちも分かる。
しかし全て独断でやられては困るんだ。私もあの場所は調べたい事があったというのに…
結局報告書にあったダンゾウとカブトが繋がっていてすず音を木ノ葉から追い出す計画を立てていたという証拠も掴めず、これ以上言及出来なくなったしな」

「…相変わらずの周到さですね」

「カブトもカブトの方でハッキリと誰と繋がっているのかすず音相手でも言っていませんでしたしね。
まっそもそも『言った言わない』だけじゃ証拠にならないんですけど」

綱手が椅子の背もたれにもたれかかりハァ…とため息をつきながら天井を見上げる。
その表情はまるでひとつの緊張から解放されたかのように、少々疲労が伺えるがスッキリしたものだった。

「蓋を開けてみれば呆気ないものだったな。
湯の国で起こっていた不思議現象をダンゾウがすず音を追い出す為に利用していただけだったとは…
ダンゾウもダンゾウでカメラの風景が異世界の風景だと勘違いしたと言い張っていて、それが本当かどうかも確認しようがない」



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