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□NARUTO拍手ログ
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【子カカシと既婚女性】その1


「と、いうわけで。
悪いんだがカカシ…この女性のことお願いするよ」

「は。え?一体何が『と、いうわけ』なんですか?」

何の前触れもなく師であるミナトは自分にそう言ってきた。
師の横には、黒く長い髪を綺麗に波立たせ、キチンとアイロンのかかったシャツにロングスカートをはいた20代前半に見える女性。
ほんわりとした雰囲気で優しげに目を細めて丁寧に両手を前に揃えてカカシを見ている。

カカシは興味なさげにジロジロと女性を見てあることに気付いた。

「(……結婚、してるのか)」

女性の左手の薬指には銀に輝く指輪。

結婚指輪か、あるいは婚約指輪か。

どちらにせよ女性にはすでに生涯を共にすると心に決めた相手がいるということは分かった。

「詳しい事情は話せないんだが、しばらくの間彼女をきみの家で保護しててほしいんだよ」

「え…」

「色々あって…その、カカシが最適だと思ってね」

ミナトにしては珍しく言葉を濁す。
余程話せない事情があるのか…

「…分かりました。
別に構いませんよ。俺以外誰も住んでませんし、部屋も余ってますし」

「ありがとうございます。よろしくお願いしますね、カカシさん」

女性は嬉しそうに笑って頭をカカシに下げた。

だがカカシは眉を寄せ

「あんたの方が年上なのに『さん』はおかしいだろ?
…で、名前は?」

「すみません、つい癖で。
それから名前は教えられないんです」

「は?」

「悪いねカカシ。これもちょっと入り組んだ事情があるんだ。
オレは大丈夫だろうとは思うんだけど…まあ、そのー…万が一、ね?」

「……?」

困った表情で頬をポリポリと指で掻きながら色々とすっきりしない説明をするミナト。

しかし師からの命令とあれば逆らうことは出来ない。

女性は不安げに

「名前が分からなくて少し不便だとは思いますが、大丈夫ですか?」

「まあ、いいよ。別に。何とかなるだろ」

それを聞いて女性は安堵したように微笑んで「良かった」と言う。
今まで見たことがない優しげに微笑むそんな表情にカカシは何故か胸がドキリと鳴った。

「ん!じゃあ、頼んだよカカシ。
何かあったら出来るだけのことはするからすぐに教えるんだよ」

「分かりました」

素直に頷くカカシにミナトはニッと笑う。

ミナトに背を向けカカシは女性に視線だけ送ると

「…行くよ」

そう言ってひとりでさっさと歩き始めた。


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