闘病生活
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カカシさんが帰ってきた。
けれど、帰ってきた先は病院。
仲間の忍の方に担がれの帰還だった。
「ただのチャクラ切れだ。
しばらくしたら目が覚めるだろう」
ベッドで静かに眠る傷だらけのカカシさんを前に先程まで医療忍術を使っていた火影さんはそう言った。
「………」
「心配するなすず音。
カカシは病院の常連と言って良いくらいよく入院するんだ。
そのどれもが助かっている。今回もただのチャクラ切れだし、すぐに目が覚める」
「…知らせを聞いたとき、心臓が止まるかと思いました…
本当に…無事で良かった…」
愛しげにカカシさんの白い髪を撫で、温かい頬と呼吸で上下する体に感謝すらする。
私は彼が眠るベッドの傍らに座って瞼が閉じられたカカシさんの顔をじっと見つめる。
「…カカシが入院する度心臓が止まる思いをしていてはお前の方が弱りそうだ。
私からも無理は程々にしろと言っておくよ。安心しな」
「この世界の人達は、チャクラが切れるとこうなってしまうんですね…」
「命が発するエネルギーを使ってるようなものだからな。
ある一定の量を使いすぎるとこうなるし、最悪死ぬことになる。
…だから、生きているのにチャクラのないすず音は本当に不思議な存在なんだよ」
「私の世界でも、占いの類としてオーラや念といったものはありましたが…どれも不確定な眉唾物でした」
眠り続けるカカシさんの頭を撫でながら
「私にもチャクラがあれば…カカシさんに分けてあげたりとか出来たんでしょうか…」
「気持ちは分からなくもないが無い物ねだりをしたって仕方ないだろう。
お前はお前なりのやり方でカカシを支えてやれ。カカシはそれを望んでると思うぞ。
…それより、体はどうだ?この間の定期健診で胸に痛みが出たと言っていたが…」
「はい。頭痛と同時に胸も痛みだして…やはり少しずつ全身に回りつつあるようで最近は胸だけでなく上半身全体が少し痛むんです。
発作は薬を強くしてから少なくはなりましたが…」
「…病状はカカシに言ってるのか?」
「いいえ。最近忙しいみたいですから、病状を話したりして余計なことまで心配かけたくないんです。
少しでも高い確率で生きて帰ってきてほしいから…」
「私は、それを聞いたカカシは怒ると思うがな。
相変わらず抱え込むなすず音は」
呆れたようにため息をつく火影さん。