闘病生活
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「きみがすず音の話し相手になってくれた人だよね?」
ある日の事、カカシは休みを利用して病院のある所に足を運んだ。
いつもなら真っ直ぐに愛しい人がいる病室へ向かうのだが今日だけは違った。
カカシが向かったのは病院の外にある花壇。
その花壇の前に設置されたベンチに、男性がひとり座っていた。
「…こんにちは。
貴方がはたけカカシさん、ですよね?
改めて初めまして」
振り返ってそう微笑む男性。
若いその男性はよく観察すれば年齢は彼女と同じぐらいではないかと推定する。
若くして散るその命。
推定が正しければ自分よりも10歳も歳下の男に、あれは大人げなかったな。とカカシは改めて心の中で反省した。
「もし良ければ隣にどうぞ?
…あ、やっぱり男の横には座りたくないですかね」
「いや、邪魔するよ」
どっこいしょ、とポケットに両手を突っ込んだまま男性の隣に座るカカシ。
男性はそれを見たあとすぐに視線を花壇に移した。
「まさかあの有名なはたけカカシさんと話す事が出来るなんて
オレの母さんが貴方の猛烈なファンなんです」
「そりゃ、どーも」
「それでよく夫婦喧嘩してるんですけどね」
「ええ…それは…いいの?」
「じゃれあいみたいなものですから」
と、男性は笑う。
「(…少し、雰囲気がすず音に似てるなぁ)」
ぼんやりとカカシは思った。
「……安心して下さい。
オレ、明日この病院を出るので」
「え?」
「急に決まったんです。
今まで里を出たあとのアテが見つからずにいたんですが、なんとか見つけたみたいなんです。
里を出て…静かな所で過ごします。木ノ葉の里は居心地良かったんですけどね」
「ま、色々あったからね。
一般人で体が弱いなら静かな場所に移動したい気持ちも分かるよ。
忍じゃないから里にどういう危機が迫ってるかっていう状況の把握しにくいし」
「体が丈夫でもオレは忍に向いてないと思うなぁ…意気地無しですし、臆病ですし」
「意外と戦場ではそういう人の方が生き残る確率は高いのヨ。
無茶な動きをしない分生存率が高まるからね」
「それでも、忍の道は選びませんでした。
強くかっこいい男には憧れますけどね」
「そっか…」