最後の物語

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「(あーーーー早く帰りたいなー
早く帰ってすず音ちゃんとイチャイチャしてラブラブエッチがしたいなーーーー
まだ五回ぐらいしかしてないよ。
今月中にせめて10回はしたい。
頭を撫でてあげてぎゅーって抱きしめて、ドロドロに甘やかしてずっと愛でてたい。
いっぱい気持ちよくしてあげてあの蕩けきった顔にちゅーしたい。ちゅー。
ベッドに散らばった柔らかい黒髪と、細めて気持ち良さげに善がる黒い目がなんとも綺麗で神秘的でエロいのよ…
あ、やべ。ちょっと興奮してきた)」

「って、カカシ先輩聞いてますか?」

心底呆れた顔をしてヤマトがぼーっと明後日の方向を見るカカシの顔の前で手を振る。

ヒラヒラと目の前で手がひらつき、カカシはハッと我に返ってヤマトを見る。

「ああ、すまん。考え事してた。
で?準備は出来たのか?」

「どうせすず音さんの事でも考えてたんでしょう。
とっくに準備出来てますよ」

カカシとヤマトが見る先には、サクラ達が会ったという記憶を失った若い男の患者とその前に座るトウホウ。

記憶を失った若者は不憫に思った集落のうちのひとりが快く迎え入れ同居しているのだという。

その同居人はお爺さんで心配そうに若い男を見守っている。

集落に着いたのは里を出て一日経った今日の朝。

以前集落にサクラ達が訪れた時はもっと速く辿り着けたのだが、今回は目が見えないトウホウもいるいという事もありゆっくりとしたペースで向かった結果
ほぼ一日かけての移動となってしまい昨日の夜は野宿をする事になってしまった。

カカシはすず音に会いたい気持ちを募らせつつも仕事に取り掛かる。

「では…トウホウ先生お願いします」

トウホウはコクリと頷く。

彼は袋の中から大量の巻物を取り出す。
その巻物の数はざっと100ほどあるだろう。

トウホウの後ろで正座をして様子を見守っていたナルト達が興味深そうに首や背を伸ばして覗き込む。

トウホウは袋から全ての巻物を取り出した事を確認すると

「それでは…まず、この巻物の中に気になるものはありますか?
なんでも構いません。ひとつ選んで下さい」

「………?」

まるで今から手品でも始まりそうな雰囲気に若者の顔は不思議そうに歪む。



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