最後の物語

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その日、カカシはヤマトと次の任務の打ち合わせで立ち話をしていた。

話も一区切りした所でヤマトが話題を変える

「そう言えば…すず音さん、だいぶ落ち着いた様子ですか?」

「ま!最初の頃よりかはね。
まだ夜中に夢に見て目が覚めてるみたいだけど…
昼間も時々フラッシュバックするのか怯えて俺にすがり付いてきたりしてるよ」

「あれから一ヶ月経つのに全然落ち着いてないじゃないですか」

「これでも落ち着いた方なのヨ。
最初の頃なんてほんと酷かったんだから。
俺が任務へ向かったり、別の用事ですず音の家から出ようとするとその別れるというシーンがあの時の事を思い出すのか可哀想なくらい震えてたんだから。
俺に悪いからって行って欲しくないっていう言葉を無理矢理呑み込んで耐えてたのよ。
その度に抱きしめて安心させてたんだから」

「まあ…一般人が親しかった者の血だまり現場を見てトラウマにならない方がおかしいですよね…」

「ナルトとサクラはまだ『これが忍の世界だから』って割り切れたみたいだからすず音ほどひどい後遺症はないんだけどネ。
すず音は一般人だから割り切れるものがない。
あの子なりにトラウマを克服しようと頑張ってるのヨ…」

「ボクらは暗部にいたから人の死というものに関して感じるものが少々鈍っていますからね。
本来はすず音さんのような反応が正しいんでしょう」

「一応五代目にも相談したんだけど、すず音の心のカウンセリングに一番効果的なのは俺らしいのよ。どーも。
だから俺はずっと付き合っていくつもりヨ。
すず音は俺の婚約者だからね」

「ハイハイ、ごちそうさまです。
ていうか…今思ったんですが、それずっと前カカシ先輩がすず音さんに何も言わず里抜けした事件のこと若干尾を引いてませんか?
いきなりいなくなって、この間の現場を思い出して、カカシ先輩が二度と帰って来なくなるって想像しちゃうんじゃ…
あーあ。確かにそれじゃしばらく落ち着きませんよね。可哀想に」

「うっ。
…嫌に攻めてくるじゃないの。俺に何か恨みでもあんの?」

「山ほどあります」

「聞いてあげない」

逃げるように話を切り、カカシは「さてと」とぼやいてヤマトに背を向け歩き出す。



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