最後の物語
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「いやー。今日も暑かった」
「本当に。まだまだ暑さは続きそうですね」
私がお風呂から上がるとカカシさんは団扇でパタパタと自分を扇ぎながらソファーにどっかりと座り込んでそう言った。
薄手の部屋着にマスクも額当てもない素顔。
相変わらずの色っぽさに胸をドキドキさせながらとりあえず私は冷蔵庫からお茶を取り出し、涼し気なガラスのコップに二人分注いでそれを持って彼の隣に座る。
「どうぞ」
「ん。ありがと♡」
カカシさんはコップを受け取り冷たいお茶をクイッと飲む。
普段は忍のベストで隠されなかなか見えない逞しく太い喉元。
それが無防備に反らされてゴクリと喉仏が上下する。
何気ない仕草なのにかっこよく見えて仕方ないその動作に私はパッと目を逸らし何も考えないようにしながらお茶を飲んだ。
「んー、すず音ちゃあーん♡」
コップをテーブルに置くとぎゅーっと横から私を抱きしめるカカシさん。
そのまま髪や耳、頬などあちこちにキスをする。
「綺麗な歌声だったよ。まるで歌姫だーね」
「そ、そんな事言われると照れちゃいます」
「だってほんとなんだもーん。
あー可愛い。すず音ちゃんほんと可愛い。んーっいい匂い」
ちゅっちゅっとキスを落としながらスーッと息を吸うカカシさん。
そしてハーッと深く深く息を吐き
「癒し…」
ぎゅうーっと更に抱きしめる。
私も前のテーブルにコップを置きカカシさんの背に腕を回して彼を見上げる。
するとカカシさんも意図を察し唇に深いキスを落とした。
「ん…」
舌が口内に入り、中にある私の舌と彼の舌が熱く絡まる。
くちゅくちゅと水音が鳴り響き
舌は絡み合いながら互いに舐め合い歯列をなぞり、再び絡み合う。
互いに少しだけ息を乱しながら見つめ合う。
「すず音…」
「カカシさん…」
真剣な表情の彼。
もう彼とは一ヶ月以上肌を重ねていない。
そう考えると、体の奥がズクンと疼き途端に彼が欲しくなる。
「カカシ…さん」
彼の胸に当たっている自分の胸を更にぐっと押し付ける。
それだけでカカシさんには伝わったようだ。