わかばいろ
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「いやぁ〜やっぱり運動の後の食事は美味しいっスねぇ〜!」
「チュエさんが作ったご飯が元々美味しいから更に美味しさ増し増しですね!」
「ありがとう。
料理といってもおにぎりと野菜炒めぐらいなんだけど」
「味付けが最高っスよ!」
「そうそう!ぼく最近の楽しみはチュエさんと修行したあとに食べるお昼ご飯ですから!」
木陰で休みながら私の弁当をそう絶賛してくれるのは霊獣の四不象と天然道士の武吉くん。
ふたりと知り合ったのはついこの間。
基礎体力作りの修行で山をひとりで走っていた時、たまたま木の下に鳥の雛が落ちているのを見掛けた私は
その雛がいたであろう巣を見つけ、木に登って雛を巣に戻してあげた。
ホッとして木から降りようとした時、足を滑らせ今度は私が落ちた所を偶然通りがかった二人が助けてくれたのだ。
二人は師匠の知り合いらしく、最近師匠が私という弟子を取った事も知ってており
近々見に行こうかと話をしていたみたいだ。
基礎体力作りの修行でここ毎日は同じ山を走っていると話すと
「楊戩さんのおかげで仙人界は良くなりつつありますけど
まだまだ戦えない女の子ひとりじゃ危険ですよ。ぼく修行に付き合います!」
と、申し出てくれた。
最初は断ったけど「自分の修行にもなるから平気です!」と言って引いてくれなかった為、結局一緒に走る事になった。
ちなみにこの事は師匠も知っており了承している。
「僕も同じ事を考えてたからちょうど良かったよ」と言っていた。
でも、正直武吉くんは修行にはなっていないと思う。
私と初めて一緒に走った時彼はあっという間に走り去って行ってしまったから彼の実力は私より遥かに上なのだろう。
今は私に合わせて走ってくれているが、彼にとっては歩いているのも同然なのかもしれない。
せめてお礼はしたくて私は二人の為にお弁当を作って持って来る事にしたのだ。
「私はお弁当を作る事ぐらいしか出来ないから…」
「そんな事ないですよ!
チュエさんはあの楊戩さんの弟子で、頑張り屋じゃないですか!
十分凄いです!」
「そうっスよ!楊戩さんの凄さはボクのご主人も認めてたっス!
そんな人の弟子なんスよ?凄いっス!」
「四不象のご主人様はぼくのお師匠様なんです!
お師匠様が認める凄い人の弟子なんですから、きっと凄いです!
まだ修行も始まったばかりじゃないですか。
歳も10代と若いんですし、これからですよ!」
「そ…そう、だよね。
この仙人界の教主様である師匠が選んでくれた……」