わかばいろ
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「え…美人三姉妹の事を知りたい…?」
いつものように師匠との会話をする夜の時間。
他愛のない話や雑学など様々な話をお茶を飲みながらしていたが、私がふと思い出し言葉にしたのがそれだった。
師匠はそんな私の言葉に若干表情を強ばらせながら
「チュエ…一体いつ知り合ったんだい?
ていうか知りたいって…え?まさか彼女達と一緒に修行したいって言いだすんじゃあ」
「あの…師匠。そうではなくて」
「え?」
「すみません…言葉足らずでした。
正確には妖怪の事が知りたいんです」
「妖怪?どうしてまた」
「私よく考えたら妖怪の事って何も知らなくて。
イメージとか噂だけで、ただ怖いものとして見ていたんです」
「…………」
「でも菫星から決めつけてはいけないと言われて。
確かに何も知らないのに知ろうともせず勝手に決めつけるのは良くないって思ったんです。
だから、まずは身近な妖怪である人の事から知っていこうと思ったんです。
最初は美人三姉妹の方々に直接お話を聞こうかと思ったんですが…
知り合って間もないのに色々と根掘り葉掘り聞くのは失礼かと思って、師匠と知り合いだと言っていたのでまずは師匠に聞こうと」
「そうだったのか…」
「美人三姉妹の方々ってどんな妖怪なんですか?
私、噂では妖怪はとにかく凶暴で残酷と聞きました。
だけどあの方々はそんな事ないように見えます」
「…………」
師匠は何故か黙り込んだ。
顔も俯いてしまっていて表情がよく分からない。
「(………?)」
私…もしかして失礼な事を聞いてしまったのかな?
不安に思いながらも師匠の言葉を待つ。
やがて師匠は深々とため息をつくと
「複雑だ…なんでわざわざ他の妖怪の事なんか」
「え?」
「いや…なんでもない。
彼女達の事をわざわざ話すまでもないよ。
チュエも知っての通りの性格だからね」
「はぁ…」
「妖怪の噂に関してだけどあながち間違いじゃないよ。
人間よりも凶暴で残酷な奴の比率が高いのは確かだ。
人を食したいと考える妖怪は多数いる。
むしろ大半がそうじゃないかと思うくらいにはね」
「…………」