わかばいろ
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目の前の丸テーブルには真っ白なレースのテーブルクロス。
その上には白い陶器に可愛らしい花の絵が描かれているカップ。
丁寧にお揃いのソーサーの上に乗って湯気を立てている。
中に注がれたお茶は紅茶。
珍しい赤い色のお茶だ。
四人分の椅子の前に置かれており、テーブルの真ん中にはお揃いのティーポットとクリーマー、シュガー。更にジャグまで。本格的である。
そんな食器を横にしてこれまた可愛らしい花形のプレートが三段並ぶケーキスタンド。
一番上にはケーキ、二段目にはスコーンやクッキー、三段目にはサンドイッチが乗っている。
「それでは始めますわよ。
チュエの快気祝いパーティを」
「チュエ!全快おめでとう!」
「本当に良かったわ。心配したんだから」
と、拍手をしながらそう言ってくれるのは美人三姉妹の長女ビーナスさん、次女クイーンさん、そして菫星。
三女のマドンナさんはいつもの様に近くで袋に入っているお菓子をひたすらバクバクと食べている。
ちらりとマドンナさんを見るとビーナスさんは
「安心なさい!
袋にお菓子を大量に入れたからマドンナはこっちのお菓子に手を出しませんわ!」
「はぁ…」
そう言えばいつもより袋が大きいような。
「病み上がりだけど大丈夫?食べられそう?」
「大丈夫ですクイーンさん。
食欲はもうすっかり元通りなので」
「無理はダメですわよ?せめてゆっくり噛んでお食べなさいね。
おかわりはまだ沢山あるから」
「ありがとうございますビーナスさん」
そして一口お茶を飲み
「美味しい…!」
「本当…!
初めて飲んだお茶だけど美味しいわ!」
菫星も感動してカップの中のお茶を見つめている。
「良かったわ。このお茶は亡くなったお兄様がよく愛飲していたものなんですの。
ミルクを入れて角砂糖をひとつ入れると仄かに甘く、まろやかになって更に美味しくなりますわ」
ビーナスさんの言う通りにしてみると本当にまろやかで甘いお茶になった。
「さぁ遠慮せずにケーキも食べなさい。
本当は下の段から取っていくのがマナーなんだけどそんな堅苦しいお茶会じゃないから食べたい物をどうぞ」
『いただきます』
クイーンさんに勧められ私と菫星はそう言ってケーキスタンドからそれぞれ食べたい物を手元のお皿に置く。
その後二人もそれぞれ食べたい物をお皿に置いた。