わかばいろ

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「今の所集まった土人形の全てが人間界の土との混ぜ物だね。
これらの量を人間界から仙人界に持ち込むにしたって物理的に無理があるし、まず目立つ。
だからおそらく大半の被害者達はこの蓬莱島に来る前から土人形になっていたとしか考えられない」

「でもそれだったらこの蓬莱島の土の成分が混ざってるのはおかしくないか?
この蓬莱島は元々妲己達の潜伏場所兼、女媧の宇宙船なんだぞ?
女媧が作った自然が地球と同じだっていう事なのか?」

雲中子の報告を楊戩と一緒に聞いていた張奎が疑問を口にする。

「そう!私も最初はこの蓬莱島と地球は別物と思っていたんだよ!
この蓬莱島の自然は蓬莱島独自のもの。
だから作りも成分も地球のものとは異なると。
でもそうじゃない。
実際は地球の土や木を持ってきて作られた宇宙船だったんだ。
つまりこの蓬莱島の自然は純度100%の地球産。
それを地中の宝貝でひとつの星にしているんだ。
気の遠くなる年数を生きた女媧だからこそ創れたのだろう。
私の知らない土の成分があったのは単純な理由だ。
私が持っているサンプルは崑崙山と崑崙山周辺の人間界の物という範囲が極めて狭いから種類も少ない。
世界中の土を掻き集めたら…そして私の知らない歴史を刻んだ世界の土があったら
私が知らない土の成分があるのは当たり前の事なんだよ」

「どうりで蓬莱島の動物達は皆地球で見た事があるものばかりだと思った。
自然環境が変われば普通はその環境に適した動物が生まれるのが必然だからな」

と、燃燈も納得する。

「なら、犯人は人間界にいるかもしれないから
土の成分で犯人の潜伏場所を特定するのは難しいですか?」

唸る楊戩。

「いや…そうでもないよ。
さっきも言った通り、私の知らない国の土や私の知らない歴史を刻んだ土。
たとえ地球産であっても、それらは絶対にこの蓬莱島にしか存在しないものだ。
その土と今の地球の人間界の土が混ざってる被害者もいた。
だから間違いなく犯人はこの蓬莱島にいる。
確かに時間はかかるだろうけど照らし合わせしておくことは無駄じゃないと思うよ」

「なるほど。なら引き続きお願いします雲中子様。
あとは人間界で土人形が現れたなんていう事件が過去に起きてないか、起きていたなら何処で起きたか。
という調査なんだけど…
神界の誰かに向かわせるか…あるいは聞きこみ調査に適した人材を厳選して仙人界から送るか…
僕の中では武吉くんと四不象のコンビが最適なんだけど」

「鳥語とかも使える辺り」と楊戩はボヤく。



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