わかばいろ

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菫星と一緒に修行をしていたら妖怪達に襲われた。

自我を失った人達ではない。
普通の妖怪仙人数人。

やっぱり人間と一緒に共存したくない。
という考えの妖怪仙人達がクーデターを起こそうとしているようだ。

まず手始めにこの仙人界の教主である師匠の弱みを握る為に弟子である私を捕らえるという。

戦えない私は菫星に守ってもらいながら教主の屋敷へ逃げようと走っていた。

「んもう!しつこいわね…!」

先頭を走る私のすぐ後ろで宝貝の扇が作り出す風で妖怪達を追い払いながら菫星が叫ぶ。

屋敷までまだまだ遠い。

走って走ってとにかくなんとか距離を作ろうとするが

「っきゃあ!」

「菫星!」

後ろで走っていた菫星がコケてしまい私は思わず立ち止まって彼女に駆け寄る。

「っ…」

すぐに立ち上がろうとする菫星だが足の様子がおかしい。
まるで産まれたての動物のように立とうとする足になかなか力が入らないみたいな動きをしている。

「菫星…まさかまだ足が治ってないの?」

「そうなの…それどころか悪化してる気がして。
こんな時についてないわ…!」

私の手を借りなんとか立ち上がれた所で

「ウラァ!その女寄越せぇえ!!」

「菫星後ろ!!」

菫星の後ろから剣を振り上げる妖怪。

「支えてて!」

言われた通り後ろに振り返った菫星の背に手をあてて体を支える。

閉じた扇を妖怪の頬を叩くとそのままくるりと回っていつの間にか私の背後にも迫っていた妖怪の頬も同じように叩く。
最初に叩いた妖怪は体をクルリと回した時の遠心力を利用して足で蹴飛ばしており、次に私に襲いかかっていた妖怪は瞬時に広げた扇の風で吹き飛ばす。

「くそっあの女強ぇえ…!」

「人間のくせに…!」

それを見ていた他の妖怪達が怯んだ隙に

「こっち!」

うまく足を動かせない菫星の手を引いて私はまた走り出す。

「あ!逃げたぞ!」

「追え!回り込め!挟み撃ちにしろ!
なんとしても捕まえるんだ!!」

早く屋敷に逃げないと。
これまで頑張ってくれていた菫星もそろそろ限界だ!

「っあ!」

前方に新手が待ち構えている。
挟み込まれた!

ぐっと腕を引かれ私の体が後ろに下がると

「怪我させるつもりはないけど邪魔をするなら保証しかねるわ!」

菫星がついに風で吹き飛ばすだけでなくかまいたちのように鋭い風で前方の敵達に攻撃する。
菫星からの吹き飛ばし防止の為に林の木の後ろに隠れていたのにスパスパと切り裂かれ隠れても身の危険がある事を思い知らされた新手は悲鳴を上げてその場から離れる。

道が開いた事を確認すると私はまた菫星の手を引いて走り始めた。



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