わかばいろ

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「師匠は戦闘力よりも強い心を持てるようになってほしいと言っていましたが…」

「うむ。それは大切な事じゃな」

「もちろん師匠が言うのですから大切だと思います。
その…今は正直よく分からないのですが…
とりあえず戦闘力を身につけつつ、いずれ分かっていけたらって思ってます。
少しでも早く強くなって師匠を守れるようになれたら」

「そうか…チュエが楽しく修行を出来ているようで良かったよ。私も安心した。
また何かあればいつでも私に声をかけるとよい。相談に乗ろう。
友人と仲良く、頑張るんだぞ」

「はい。ありがとうございます公主様!」

美しく微笑む様子はどこか儚さも感じる。
気遣ってくれるそんな優しい公主に私は有難い思いで深々と頭を下げた。
















「驚くほど明るい表情になっていて最初は目を疑ったものだ」

チュエが出ていったあとのVIPルームで今度は楊戩と燃燈道人が入り、話しをしていた。

公主は前のローテーブルに置かれていたお茶を手に取ると一口飲み

「だがあれが本来のチュエなのだろう。
元々の明るさを取り戻せたのならこれ以上喜ばしい事は無い」

「ここ最近のチュエは明るくて、よく笑ってくれます。
だから僕も安心してて…菫星くんのおかげですね。
彼女と出会ってからチュエはみるみる元気になっていきましたから」

「菫星の戦闘を間近で見ていたおかげで自分も戦えるようになったと心底喜んでいたな。
私にも楽しそうに話してくれたよ」

「……その事だが」

突然真剣な表情になる公主に楊戩と燃燈道人は驚く。

「…何か気になる事でもありましたか?異母姉様」

「うむ。少し引っ掛かってな。
私はチュエの戦闘力を見た事がないから何とも言えぬが
楊戩、おぬしの戦闘力そして洞察力は評価しておる。
そんなおぬしがチュエの戦闘力を測り間違えるとは思えぬ」

「…公主、実は僕も心に引っ掛かってるんです。
確かに僕の知らない所で飛躍的に成長した可能性も否定出来ません。
でも…それでも…僕にはうまく説明出来ませんが…
それ等を差し引いてでも、チュエがあれほどまでに戦闘に特化して成長するなんて違和感を感じるのです。
なにか…彼女らしくない。
そんな気がして」



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