わかばいろ

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昼過ぎに私は菫星を迎えに行き、そして師匠が貸してくれた哮天犬に一緒に乗って屋敷に戻ってきた。

まずは教主兼屋敷の主である師匠に挨拶がしたいと菫星が言うので
執務室で仕事していた師匠の所へ挨拶に向かう。

「こんにちは菫星くん。
今日からよろしくね」

「はい。こんにちは教主様。
こちらこそよろしくお願いします。
すみません…わざわざ私の部屋まで用意して頂いて」

「良いんだよ。
場所は分かるかな?前泊まりに来た時に使った所なんだけど」

「はい。分かります」

そう。今日から菫星は治るまで屋敷に泊まる事になった。

原因はこれから調べるのだが、歩けない程の病状の人を家から通わせるのは酷だという師匠の意見で泊まり込む事になったのだ。

「荷物を置いたら雲中子様にもご挨拶に行ってきます」

「うん。多分そのまま診察に入ると思う。
ある程度荷物の整理をしてから行くといいよ」

「分かりました」

「では師匠、私は菫星の荷物整理の手伝いをして雲中子様の所まで案内してきます」

「分かった。よろしく頼む」

「哮天犬もありがとう。またね」

「ばう!」

尻尾をふりふりする哮天犬に手を振り「失礼しました」とふたり同時に執務室から退室する。

ふたりで談笑しながら屋敷内を移動しやがて菫星がこれから使う部屋に到着する。

菫星はもう宝貝の扇に座っていないと移動出来ない程足が動かない。
だから私が彼女の荷物を整える。

「これ、ここでいい?」

「ええ。ありがとう。
もうそのくらいでいいわ。後はひとりでも出来るから」

「分かった。じゃあ雲中子様の所に行く?それとも少し休む?」

「雲中子様の所に行くわ。一秒でも早く治したいもの」

「じゃあこっち」

菫星の部屋を出て再び移動する。

「教主様の屋敷だから当たり前なんだけど…やっぱり大きな屋敷ね」

辺りをキョロキョロと見回す菫星。

「屋敷の最上階が師匠の部屋なの。
師匠の部屋というか、師匠のフロアというか。
最上階は全室師匠の完全プライベートルームみたいなものだね。
師匠専用の談話室や書庫、入浴所もあるし」

「さすが仙人界の教主様は自室のスケールが違うわね」

「本当に。私なんて自分の部屋が広すぎて持て余してるくらいなのに。
弟と一緒に暮してた頃は自室なんてなかったから」

「あら。なら教主様と一緒の部屋にしてもらったら〜?」

「そんな事出来るわけないでしょー!?」



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