師弟生活

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「し…師匠と…私の、子供……!?」

顔を真っ赤にする。

「まだ想いを伝え合っただけでいきなり子供の話しをするなんて最低だと分かっているよ。
でも僕にとっては大切な事なんだ。
僕には…教主という立場があるから」

「………」

「身分なんて関係ない。けれど立場は別問題。
僕は仙人界の教主としてこの仙人界を守る跡継ぎが必要なんだよ」

「つまり師匠にとって子供は絶対に必要なんですね」

「それだけじゃない。
僕は妻以外の女性を愛す気は無い。
だから僕の妻になる人は必ず僕の子を産める人でなければならない。
チュエと僕がどんなに愛し合っていても…子供が出来なければ一緒にはなれないんだよ」

「………!」

「僕は他の女性が産んだ子をチュエに育てさせるような事はしたくない。
そんなチュエにも生んだ女性にも残酷な事したくない」

「でも…確か…妖怪と人間の間に子供が出来た前例はないんですよね…?」

「僕は聞いたことないね」

「っ…………」

「だから…その…チュエ」

師匠を見ると彼は言いにくそうに目を逸らし顔も少し赤くなっている。
言うのを躊躇っている様子の彼はしばらくひとりで「あー…」や「その…」と呟くと

「殴って構わない。
けれど敢えて提案させてほしい」

「?」

「僕との間に子供が出来たら、結婚しよう!」

「…え?」

「チュエを…抱かせてほしい!」

「!?…な…っ…な……!」

「分かってる!最低だって!まだ想いが通じ合っただけで、付き合ってもないのにいきなりこんな事言うなんて!
しかも子供が出来なければ一緒にはなれないだなんて。
本当に…本当に最低だ。
はたから見たらただの身体目的だ。
でも…僕にはこれしか思い付かなかったんだよ。
きみの体を傷付けずに一緒になれる方法なんて思い付かなかった。
黙ったまま付き合って、しばらく経ってから実は簡単に結婚は出来ない。なんて言うのも酷いと思ったんだよ。
チュエに嫌われてでも、最初に伝えるべきだと思ったんだ…」

「師匠………」

「…幻滅、したかな」

しゅん、とまるで子犬が怒られて耳を垂れさせて落ち込むように師匠もまた眉を下げて怖々と私に聞いてくる。
そんな師匠が可愛らしい。
そんな師匠が、私は大好き。



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