山守月天子
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「こんな時に五代目が不在とはね…」
「でも異常はないようで安心しました!」
「ご心配おかけしました…」
診察も終わり私は病院のベッドの上にいる。
診察の結果特に異常は見当たらなかった。
だが、最初よりかは苦しくないもののまだ痛苦しさは続いているので
念の為今晩は病院で過ごす事になった。
「じゃ、面会時間も過ぎちゃったし俺達は帰るけど…
すず音は狙われてる身だからね。見張りに暗部をつけておくよ。
明日の朝退院でしょ?
迎えに行きたいけど俺もガイも朝から任務でね…帰りは暗部の人達に送って貰いなさい」
「分かりました。
カカシさん…ご飯の用意出来なくてすみませんでした」
「また今度ゆっくり食べさせてもらうさ。
すず音も含めて、ね」
ニコッと笑いぽんぽんと私の頭を叩く。
「ガイさんも、せっかくのライバル勝負を邪魔する事になってしまって…」
「いやいや。また挑めば良いだけですから!」
「えーーー」
「それよりも体の方を大事にして下さいっ」
「お気遣いありがとうございます」
「じゃあね」
カカシさんが一言言ってふたりは個室から出て行き、外の見張りの方と少しだけ話してやがて気配は遠のいていった。
「…………」
ただの一般人の私にカカシさんは見張りを二人もつけてくれた。
何も心配する事は無い。
でも…突然狙われだした事。
不自然に起きた胸の苦しさ。
今でも僅かに苦しい胸を押さえる。
「一体何が起きてるの…?」
現状を把握しようがない私は不安なままひとり病院での夜を過ごした。
何事もなく夜は明けた。
配膳された朝食を食べたあとお医者さんから体調を聞かれた。
「胸の痛みと苦しみはもうありません」
「そうですか。
一応痛み止めの薬を出してますので帰りに受け取って帰られて下さい。
また胸が痛くなった時飲まれて、それでも改善しないようならもう一度来られて下さいね。
では、もう退院されていいですよ」
「ありがとうございました」
部屋から出ていくお医者さんに頭を下げ、私はベッドから出て着替える。
軽くベッドの皺を伸ばしたり棚の位置を戻したりして周囲を整えると荷物を持って部屋を出た。