山守月天子

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「行きません!」

ハッキリと断った。
差し出された手を拒否するように一歩足を引いてまで。

「帰して下さいっ私をカカシさんの所に…帰して下さい!」

「帰れないよ。だってきみは木ノ葉に歓迎されてないんだから」

「いいえっいいえ!例え歓迎されてなくても私はカカシさんの元に帰るんですっ
彼だけでも歓迎してくれるのなら、私にとっての帰る場所なんです!」

「ハッ!愛ゆえにって事かい?…くだらない」

差し出された手が伸びてきた。
私はそれにビクッと反応すると自分の手を後ろに回し彼が仕込んだ罠を発動させる為に腰のリボンを解こうとする。

「無駄だよ!きみのリボンに何か仕込まれているのは分かっているからね!」

「あ!」

素早く手首を掴まれ力任せに引っ張って上に捻り上げられる。
手首を掴む力も尋常でなく、痛い。

「やめて…やめて下さい…!」

もう片方の手でも抵抗するがあっさり掴まり同じように上に上げられる。
そのまま近くの木に押し付けられ私の抵抗手段は無くなってしまった。

「大人しくしてもらうよ」

カブトさんがそう言いながら片手だけで私の両手を拘束し、もう片方の手で懐から取り出した物は瓶に入った薬。
錠剤のそれは私がかつて飲まされた幻覚剤を思い出させ、恐怖で震えながらもせめてもの抵抗で顔を背ける。

「大人しくて気弱そうなのに意外と強情だね、きみ。
……カカシさんは好きかい?」

「貴方に関係ありませんっ」

「愛してるかどうか聞いてるだけじゃないか」

「愛してます!それがなにか?」

「コピー忍者とも呼ばれ写輪眼のカカシとして名高い天才忍者。
そんな人にきみが愛される資格があると思ってるのかい?」

「………どういう意味でしょう?」

不可解な問いかけに目の前にあるニタニタ笑う蛇の目を見つめる。

「天才忍者に愛され、その教え子達に姉と慕われ…その他様々な忍達に囲まれ守られて……まるでお姫様みたいだ」

「そんなつもりは……」

「ボクはね 色々な能力をこの体に宿しているんだ。
数年前にきみを召喚した男の細胞もボクの中に埋め込まれている。
…きみの故郷がこの目に映るよ。
そして、ターゲットをきみに定めた事でその血縁者や関係者の事もね」

「!?」

「自分を捨てた本当の両親の事を教えてあげよう」

「いや…」

「両親の事を聞いても、きみはまだカカシさんに愛される資格があると言えるかな?」

「いや!」



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