山守月天子

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サクの拠点はこじんまりとした小屋のような所だった。
サクを入れて七人が寝泊まりするには無理があると、小屋の後ろにある広い空き地にヤマトが仮拠点を作っても良いかと提案した。
誰とも視線を合わせていないならその拠点も認知されないだろうとサクは許可し、ヤマトの木遁術で広々とした拠点を作り上げる。
ひとまず今夜はその拠点で休む事にした。
すぐにでもすず音を助けに行きたがっていたナルトだったが、どうやらサクからミソカの話を聞いてそちらも放っておけなくなったようだ。
今後の計画を簡単に話し合いそして見張りを交代制と決めて各々休む事に。
ある程度話が決まった所で拠点から出ていこうとするサクにナルトが「一緒に休もう」と引き止めるが
サクは申し訳さそうに微笑んでお礼を言ってから

「僕は皆さんの傍にいてはいけませんから」

そう言ってナルトが反論する間も無く拠点から出て行ってしまった。
納得しない様子のナルトにカカシが「自分の拠点の方が落ち着くんじゃないの?」という言葉にやっと納得したようで、最初の見張りであるヤマトを残してチームは眠りについたのだった。










まだ日が昇ったばかりの早朝。
ネジは見張りで起きていたサイに一言伝えてから拠点を出て森の中で朝の鍛錬をしていた。
一通り汗を流した頃、人の気配がして振り返るとそこにはネジと目が合い、ハッと我に返ったサクが申し訳なさそうに立っていた。

「サクか」

「すみません…邪魔をしてしまったみたいで」

「いや 丁度終わった所だ。おはよう」

「おはようございます。
昨夜は眠れましたか?」

「ああ」

「良かった…」

少しの間、沈黙が流れる。

「えっと」

「少し話をしないか?」

「へ…」

「いやあの、色々とこの国の事を聞きたくてだな…!」

「えっあ、そっそうですか。そうですよね。
ええっと…何でしょうか?」

「その前にその…もう少し近付いたらどうだ。
話しがしづらいだろう…?」

確かにサクとネジの間には距離がある。
遠すぎるという程ではないが、会話をするには少々距離がある。
サクもそれには気付いており顔を僅かに俯かせて頬を仄かに紅くすると、おずおずと様子見するようにネジに近付いていく。
やがて立ち止まった場所はネジとはまだ若干距離があった。
それでも一応会話出来ない程でもない為、ネジは気にしないフリをして話しを始めた。



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