そらのいろ
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「これを返しておこう」
火影さんから渡されたものは私のスマートフォン。
電池はまだ残っていたが私は電源を切ってポケットに入れた。
私はカカシ先生に連れられ何度か火影さんに会っている。
その理由はこのスマホの使い方を教える為だ。
「色々協力してくれたのに何も分からなかった。すまんな」
「いえ、私こそお力になれずすみません」
「だが、確かに情報を得ることは出来なかったがその機械にはとても目を引く所があった。
すず音がいなければ見る事もなかっただろう。ありがとう、良い経験だったよ」
「そう言って下さると嬉しいです」
「この里にきてだいぶ経つが里の暮らしは慣れたか?」
「はい。カカシ先生を初め色んな方が親切にしてくださって…とても助かってます。
カカシ先生も本当に色々とお世話をしてくれて」
「いやいや。むしろ俺の方が世話になってるくらいですよ火影様。
家事全般任せきりで申し訳ないくらいです」
「以前差し入れをもらったがすず音の料理は本当に美味かったよ。
そういえば、あの時のお礼をまだしてなかったな」
「そんなお礼だなんて。私そんなつもりじゃ」
「気にするな。お礼と言っていいものかどうかという内容だからな。
ワシもそろそろ自由にしてやりたいと思っていたんだよ」
「と、言いますと?」
と、カカシ先生。
火影さんは一度タバコを吸い込んでそれを吐き出すと
「まだはっきりとした原因は分かってないが、そろそろすず音の監視を緩和しようと思ってな。
今までは必ずカカシがいなければ外出を許可しなかったが、誰かと一緒なら自由に外出を許可しよう。
あまり変わってないようだが上がなかなか納得しなくてな。その内ひとりでも外出が出来るようにしてやろう。それまではこの条件で耐えておくれ」
「同行者がカカシ先生じゃなくても外出をしてもいい。という事ですよね?」
火影さんがこくりと頷く。
「ありがとうございます。少しずつ皆さんの警戒心が薄れていくように思えて嬉しいです。
これでカカシ先生もひとりで自由に外出が出来るようになりましたね」
「俺は別にすず音が一緒でも良かったんだけどね」
「いずれはすず音にもちゃんと家も準備し、別々で暮らせるようになる時も来るだろう。
それまでよろしく頼むぞ。カカシ」
「はい。火影様」
力強く頷くカカシ先生。
「(いずれはカカシ先生と別々に、か…)」
それが本来は普通。
なのにその言葉を聞いただけで私の心は寒く感じた。
もやもやとする胸の内を気付かないふりをし私とカカシ先生は火影さんの部屋を出る。