そらのいろ
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あれから数日。
「やはり思った通りだな。
すず音に医療忍術は使えないようだ」
ここは病院。
私はベッドの上で火影さんに手を掲げられながらそう言われる。
後ろ首を斬られたカカシ先生は火影さんが「本来ならこの位自力で治してもらうんだがな」とぼやきながらも医療忍術の見本として完治させた。
そして次に私の首に手を掲げるがカカシ先生の後ろ首のように傷が消えることは無かった。
火影さんはしばらく粘ってくれたが変わる様子はなく、仕方なく諦めサクラちゃんが包帯を巻いてくれる。
幸い、傷は浅いので血は止まっていた。
「じゃあ、すず音ねーちゃんは怪我しても誰にも治してもらえないのか?」
ナルトくんが火影さんに問う。
「医療忍術での完治は無理だな。
傷を縫ったりと薬を投与するなどある程度の処置は出来るが完治は自力でやってもらわなければならない。
…お前にとっては、少し酷な世界で生きることになったな」
火影さんは事件の一連のことをカカシ先生から報告を受けている。
…そして、私が元の世界に帰れなくなったことも。
私は首に巻かれた包帯に触れながら
「仕方ありません。それも覚悟の上です」
傷は首から顎下にかけてと割と長くあった。
包帯が巻かれているのにまったく息苦しくもなく、しかしきっちり包帯の下にある薬を染み込ませたガーゼを押さえている。
サクラちゃん…なんだか慣れてるなぁ。
「それから、お前が飲まされていた幻覚剤の効果だが…
今は鎮痛剤のおかけで頭痛もないだろうが、苦しいのはこれからだ。
あれはほとんど麻薬だ。痛みで薬を求めさせそして徐々に体の内側から蝕んでゆく。
痛みは頭痛に留まらず全身に回るだろう。
だが、それさえ乗り越えれば少しずつ痛みは引いて以前と同じ体を取り戻せる。
薬を処方しておくから、必ず月に一度取りに来て飲むんだぞ。
痛み止めも入れておくが…あまり飲みすぎるなよ?薬に依存してしまっている体で飲みすぎれば次はそれに依存してしまうかもしれん」
「分かりました」
「なんか…せっかくすず音ねーちゃんを助け出せたのに
やっとすず音ねーちゃんが木ノ葉の一員になれたのに…
敵を倒しても苦しむことになるなんて…オレってば全然すっきりしないってばよ」
「…仕方ありませんよ」
「ほら!そうやってさ!そうやってさあ!
いっっつもすず音ねーちゃん我慢してさあ!
もっと弱音吐いてくれってばよ!オレ達、すず音ねーちゃんの本当の気持ちが知りたいんだ!」
余程私が黙って里を出た事を怒っているようだ。
ナルトくんは強い目で私を睨むように見つめる。