書庫(捧げ物)

□現世組vs護廷隊長達
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「あの窓だな…」
夜、チャドは一護の病室のすぐ傍に来ていた。
チャドは小さい石を掴み、徐に投げた。

コツッ
軽い音が響き、一護は目を開ける。
「なんだ…?」
一護は訝しがりながら窓を開く。
「チャド」
窓の外、下の方にチャドが立っているのをみて一護は身を乗り出す。
チャドは一護に向かって軽く手招きをし、少し、というゼスチャーをする。
意図を汲み取った一護は時計を一瞥すると、窓から外へと飛び出した。
「なんか久しぶりだな、チャド」
音も立てずに着地した一護が話しかける。
「ああ、大丈夫なのか?」
移動しつつもチャドが一護に聞く。
「俺的には大丈夫なんだけどな、まだ許可が出ねぇんだ」
軽く言う一護。
「そうか、石田達と話していたんだが…そろそろ戻らないと不味くないか?」
「あ〜、確かにな;お前最短で何日だ?」
「多分二日だ」
主語の無い一護の言葉にチャドが普通に答える。
「やっぱそんぐらいかかるよな…」
困ったように一護が呟く。
「ム…。取り合えず一護が動けるようになったら戻ろう」
「ああ、悪いな、またせちまって」
「一護の所為じゃない、あとは俺達で段取りをする。準備が整うまでは休んでてくれ」
「わかった、じゃ、頼むな」
「ム」
チャドが一護の言葉に頷き、一護は体を翻して窓から部屋へと戻る。

『何が二日掛かるのだ?』
部屋に戻った一護に斬月が聞く。
(宿題。初日から修行だったからな)
苦笑しつつも答える一護。
『それで茶渡は戻る相談をしに来たのか』
(ああ、門を開けてもらわないといけないからな。多分すぐに戻れるだろ)
『そうだな、今は茶渡達に任せて一護は十分に休む事だ』
(そうさせてもらう)
斬月との会話を終え、一護は再び眠りにつく。


「まだ許可はでていないが、一護自身は大丈夫だそうだ」
翌日、チャドが石田と織姫に言う。
「なら、なんとか堂々と会って戻らないといけないね」
真面目な顔で言う石田。
「とにかく黒崎君に会わせてもらおう!!」
織姫が元気良く言い、二人もしっかりと頷く。
「じゃ、黒崎に一人でも会う事を目標としようか」
「そうだな」
「うん!!」
石田の言葉にそれぞれが動き出す。

「何故会えない?もう話す程度ならば大丈夫だろう」
石田が少しキツイ口調で言う。
「ダメだ、まだ許可が出ていない」
「そういうこった、大人しく観光でもしてろ。こっちは珍しいだろ?」
突き返す白哉と恋次。

(くっそ、この二人ならと思ったんだが…)
恋次ならば多少の融通は利くかもしれないと思った石田だったが、予想以上に強情に断られてしまった為に次の手を考えながら移動する。

「まだダメなの? ちょっとでいいんですけど…」
織姫が身を乗り出して聞く。
「らしいな」
「そう言ってたよ〜」
面倒そうな剣八と暢気なやちるの答えに、織姫は肩を落とす。
「悪いな織姫ちゃん、怪我人に対しての卯ノ花隊長の言葉は絶対。たとえ隊長でも異議は通らねぇんだ」
説明する一角。
「一護君の美しい身体に傷跡が残らないようにする為にも暫くは会うのを我慢するしか無いって事さ」
弓親がまとめる。
「そうですか…、お邪魔しました」
織姫は頭を下げて出て行く。
面識があり隊長でもある剣八に一護に会わせて欲しいと頼んだ織姫、管轄外である以上無理だと断られて肩を落とし、次に頼める人を探す。
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