書庫(捧げ物2)

□意外な繋がり
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*時間軸的には「母一護」の数日後となります、ご了承下さいm(__)m



先日の一護来訪騒動は一部の死神達の生活に大きな影響を与えた。
特に副隊長達は顕著で、口々に一護の事を噂していた。
その噂は隊員達も耳にし、どんな人物かと想像を膨らませていた。
「おい、聞いたか…」
「ああ、更木隊長の育て親の話しだろ?」
「日番谷隊長の教師だったとか」
「俺は、総隊長と同期だって話しを聞いたぜ」
「どんな婆だろうな?」
「きっとゴツイ大きい婆さんだろうよ」
「違いねェ」
「そりゃ悪かったな」
山本のような死神を想像し笑う十一番隊の隊員達の会話に、スルリと入った聞きなれぬ澄んだ声。
「「「ッ?!」」」
「ダ、誰だテメェ!!!」
驚いて振り向いた先にはやはり見慣れぬ青年、輝かしい髪と堂々たる立ち姿、そして隊長格を思わせる霊圧を持っていた。
その青年はクスリと笑うと、肩に背負っていた大きな袋を掲げて見せる。
「その婆だ、ここ十一番隊の隊舎だろ?剣八とやちるに会いたい
んだけど…今いないのか?」
気配が近くにねェな、そう言って青年は袋を再び担ぐ。
「ざ、更木隊長を呼び捨てとはフザケタ奴!!」
「やっちまえ!!!」
「ぶっ殺せ!!」
「…お前ら今噂してたじゃねェか;」
話しも聞かずに斬りかかってくる十一番隊隊員に些か呆れつつ、噂されてた青年、一護は袋を高く放り投げて臨戦態勢をとった。
「何モンだ、テメェ」
「強いね」
瞬く間に全員をノシてしまった一護の目の前に、楽しげな笑みを浮べた一角と弓親が現れる。
「俺は黒崎一護、特別席官として護廷内散策は許されてるんだ」
ほら、と一護は席官証を見せる。
「不審者って訳じゃねェのはわかった、だが、隊長は今不在でな…代わりに俺が相手をしてやる。俺は十一番隊第三席、斑目一角だ!!」
名乗って早々に構える一角、その気迫に一護は楽しげに目を細めると袋を脇に置いて斬月を構える。
(面白ェ奴)
『戦闘能力だけで言えば副隊長クラスだな』
笑みを零す一護に斬月も機嫌よく返し、二人とも一角を見据えた。
「行くぜ!!!」
勢い良く飛び掛ってくる一角、それを余裕でかわし、一護は軽く斬月を振るう。
「ッグ!!」
「タフだな、動きも軽いし腕も中々、様子見は止めて本気で掛かってきて欲しいところだ」
軽くとはいえ重い一撃に呻く一角、その一角を見て一護がさらに笑みを深める。
「っち、『伸びろ鬼灯丸』!!」
「まだだ、次があるだろ?」
「なんだ、そこまでわかってんのかよ『裂けろ、鬼灯丸』!」
槍状に変化した鬼灯丸をみて一護が挑発するように言うと、益々楽しげに一角が更に解放する。
「そうこなきゃな」
一護も楽しげに呟くと、再び一角の相手をし始める。
全く本気を出す様子を見せない一護に、一角の攻撃は掠りもしない。
しかし一角は不満を感じなかった。
普段ではありえない事、それだけ一護との実力差があるという事に、一角は心地よささえ感じていた。
途方も無く強い相手の胸を借りているのを直感し、喜びすらあった。
「お母さん!!」
そこに割って入った桃色の頭と声。
「何やってやがんだ、一角」
動きを止めた二人に近付いてくるのは剣八、一護の胸にはやちるがいた。
「隊長…スンマセン、勝手に」
「よ、剣八、やちる」
勝手に戦った事を詫びようとした一角に、一護の軽い声が重なる。
「っへ?」
「副隊長…今、なん、て言いました?」
軽いノリの一護に一角が驚き、弓親が恐る恐るやちるに訊ねる。
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