書庫(捧げ物2)

□文化祭の長い一日
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賑やかな教室内、いつもとは違う祭りの喫茶店の中を模した飾りつけが一護達の教室の現在の状況だった。
そしてもう一つ違うのは一護達の服装、一護の一番近くにいる茶渡は褐色の肌によく合う茶色い三角の耳と同色の尾を付け古風な町人の格好をしている、可愛いものに眼が無い彼自身気に入っているらしい狼男。
次に眼に付くのは石田、彼はそのまま神父の格好で、織姫は巫女衣装を身に纏ってはしゃいでいる。
たつきはワイルドな服装に包帯を巻き、千鶴はあらか様に露出度の高いの格好、本人曰くでサキュバス、わかり易い魔女の格好はルキア。
啓吾は相変わらずに見えるが薄く青いペイントを施し傷のメイクと袖が破れた服、迫力は無いがフランケンシュタインだろう、彼と並ぶ水色は首輪をつけ黒い三角耳に長い尻尾、燕尾服の化け猫らしい。
そして教室の最奥で彼らに囲まれている一護は古典的な伯爵の格好に長めの外套、口につけられた小さな付け牙、不機嫌そうに佇む姿は完璧なドラキュラ伯爵。
何故ハロウィンでもないのに全員がそんな格好なのかといえば今日は文化祭だから以外のなんでもない。
「今日を乗り切れば連休なんだからシャキッとしなさいよ」
「んな事言われてもな…」
不機嫌なままの一護の肩を叩くたつき、最後の最後まで接客係を拒否していた一護を知っている面々は苦笑いでそれを見やる。
「昨日は乗り切れたじゃない」
「絡んできた馬鹿を叩きのめしただけだったからだろ。今日は外から来た客のが多いんだ、そうもいかねぇっての」
一般開放ではなかった昨日は知っている教師や生徒のみ、その中でも妨害しにきた大島とかを叩き出す事しか一護はしていなかった。
一護達のクラスの出し物は「化け物喫茶」調理に回ればいいと高を括っていた一護は特に反対をしなかったのだが、何故かクラスメイト全員に接客の方を押し付けられてしまったのだ。
「大丈夫だって、愛想笑いなんかしなくていいんだから」
アドバイス通りやんなさいよ、そう言ってたつきは一護の肩を叩く。
どう抵抗しようともう一般開放の時間、長い一日が始まる合図が校舎にアナウンスとして流れた。
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