書庫(捧げ物2)

□一護の休暇
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照りつける日差し、見事に晴れ渡る空を見上げる白銀と橙の双子の青年。
「久々に休みが取れたのはいいけど、どうすんだ?」
手合いでもすっか?と白銀の髪を持った青年、朔護が片割れに話しかける。
「ん〜…街、先にぶらつこうぜ。午後からでも手合いにすりゃいいだろ」
ゆっくり出来るんだし、そう言って一護は笑った。
朔護がその提案に異論を唱える事もなく、二人は私服で町へと歩き出した。
珍しく二人して手が空き、ここぞとばかりに休暇をとった一護と朔護。
いつになくノンビリと過ごせる事に本人達だけでなくその相棒である斬月と白牙までも機嫌が良かった、そんな休日の朝。

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彼方此方で挨拶をしてくる顔見知りや平隊員達に挨拶を返しつつ、一護達は街を散策していく。
「そこの店、ちょっと寄って行こうぜ」
「ああ、面白そうだな」
綺麗な小物を取り扱っているらしい店に足を踏み入れる一護と朔護、見目が良く有名な二人に店員や客が黄色い声を上げるが一切無視した。
(土産に買ってこうかな…)
可愛い系の小物を眺め、一護は可愛い物が大好きな妹達と母を思い出す。
一護としても可愛い物は好きな方なので選ぶのも一つの楽しみだ。
(どれなら喜ぶかな?やっぱ一つづつだよな?)
考えつつ内に問いかける一護。
『お前の土産なら幾らでも喜ぶと思うが? まぁ、余り買い過ぎぬ事だ』
後に差し支えるぞ、そう微苦笑して話しを振られた斬月が答える。
(それもそうだな、朔護の奴も見てるみたいだし…ゆっくり決めるか)
『ああ』
もとから口出しを余りしない斬月は、一護に同意を示すだけで楽しげな一護を黙って見やっていた。

(結構掘り出しモンあるな、一護も気に入ったみてぇだし)
また来るかな、そう思いつつも自分用のモノを物色する朔護。
『一護のイメージか?』
月と羽を模したバングルを手に取った朔護に、内側の白牙から声が掛かる。
(ぴったりだろ?俺にゃ少し大人し過ぎるけどな)
シンプルなそれを手に取ったまま、朔護はドラゴンスカルのシリーズを眺める。
『俺らにはこっちだよな』
喉を震わせて笑う白牙に、朔護も口角を上げた。
鉤爪を模したブレスレットを持って、更に笑みを深める。
そのまま上機嫌で話しながら買うモノを決めていく朔護と白牙、買い上げてすぐ幾つかを身に付けた。
「また増やしたのか?」
店を出ながら呆れ半分に一護が言えば、朔護は気にした風もなく先ほどのバングルを投げ渡す。
「へー、こういうのも揃ってたんだな」
「やる」
「あ?」
「俺じゃ合わねぇけど気に入ったから」
シンプルだが繊細なそれを受け取り感心した一護に、朔護が短く言った。
一瞬疑問を返した一護だったが、とりあえず貰ったモノなので腕につけて見る。
『やっぱ一護の方が似合うな』
(当然だろ?俺が見立てたんだからな)
『違いねぇな』
しなやかで細い一護の腕に、細やかな羽をあしらった月のバングルは良く似合っていた。
それを見て言った白牙にさも当然と朔護が言い返せば、二人して喉を振るわせて笑う。
具象化している時などは似たもの同士の二人に一護と斬月が揃って呆れたという視線をよこすのだが、今はあいにく白牙も斬月も主以外には不可視の状態、誰もそういった反応を示す事はなかった。
「さんきゅ、朔護」
「おう。次行こうぜ」
「ああ」
楽しげに笑いあい、双子は街中を進んでいく。

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