書庫(捧げ物2)

□氷の龍が守る橙の輝き
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流魂街でも特に平穏で治安の良い西流魂街一地区“潤林安”、瀞霊廷が最も近いこの地区の中ですぐそばに壁をみる事の出来る位置にその家はあった。
「ただいま、ばーちゃん、一護」
護廷の隊長をしている冬獅朗は、激務をこなしてなるべく家へと帰って来られる様にしている。
その理由は二つ、一つ目は世話になった祖母の様子を見る為。
「おかえり!!冬獅朗!!」
そして最近加わった理由、現世で拾った子、一護がいる為だった。
「ただいま、良い子にしてたか?」
「ちゃんと大人しくして、約束も守ったよ!!」
穏やかに聞いた冬獅朗に、一頭分小さい一護は跳ねながらホラ、と手首の霊圧制御装置を見せる。
開発局に特注したそれは一見ただのブレスレットに見えるが立派な霊圧制御装置で、局員曰く受注者である冬獅郎にちなんで翡翠を模擬しており一護も気に入っている代物だ。
「そうか、じゃあ良い子の一護には土産をやらなきゃな」
ほら、と懐から飴玉の包みを渡す冬獅郎。
「飴だvv!!」
甘い物が大好きな一護は大喜びで早速特大の一つを取り出して頬張る。
「おいし〜〜vvv」
ニコニコして片頬を膨らめたままウットリと眼を細める一護に、冬獅郎と祖母は思わず笑みを浮かべて一護を優しく撫ぜた。
今迄鬱陶しいだけだった浮竹の飴が有難くすら思え、今度からは頭を撫でられる位なら我慢してもいいかもしれないと冬獅郎は思う。
それ程までに一護の笑みは愛らしく、引き取る事を決断した自分を褒めたい位なのだから。

そもそもの始まりは一週間程前、死覇装姿の子供がいるという報告が入った事だった。
たまたま手が空いていた冬獅郎が現世に赴き、一目で気に入って自宅へと連れて来たのだ。
報告がてら自分が引き取る事を総隊長の山本に伝えたところ、様子が落ち着いたら一度審議するとの答えが返って来た。
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