書庫(捧げ物3)

□玉石混淆
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護廷十三隊入隊式、新入隊員達が集められて隊長達の前に並ぶ。
山本を始めとして一人づつ隊長達が祝辞を述べ、隊ごとに別れた。
個々の隊長や隊士の中には極めて個性と共に外見の特徴も強い者もいるのだが、新入隊員の中にも変わった髪色がチラホラと見受けられる。
その色の大半は遺伝の為誰も気にしない。
しかし今年は一人、隊長達の目を引く青年がいた。
陽光を受け柔らかく輝く橙、青年が同期達と共に動けばフワリと暖かそうな色が揺れる。
今度会えたら呼び止めて名でも聞いてみようかと、珍しくも隊長達の心情が揃った。


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それぞれの隊での着任の儀、先輩となる隊員に先導され直属の隊長に挨拶をする。
同期となる者達が少なからず緊張している中で一人、先ほど隊長隊の目に留まった青年は欠伸を噛み殺していた。
『退屈そうだな、一護』
(まぁな、でも隊長相手じゃ今まで通り楽には行かないだろ)
『どうだか、実力もそう大した感じじゃなかったぜ?』
気を紛らわせようとしてくれたらしい己の斬魄刀の斬月に答える一護、しかしそれに虚の力の朔護が笑う。
元々髪色の事で厄介事に巻き込まれやすい一護。
死神となって常に努力し続けた結果、才覚もあった為か凄まじい実力だけでなく禁忌とされる虚の力も身に付けた。
しかし天狗になりひけらかすべきではないと判断し、学院でも中の上を維持して他の生徒達と同じように入隊式を迎えた一護。
「貴殿らは栄誉ある一番隊に入隊を許された、その事に誇りを持ち共に職務に励もうぞ!」
先ずは暫く新入隊員の指南役を受けたらしい第十席の激励を飛ばし、隊長の山本が姿を現す。
(あの青年は儂の隊であったか、中々見所がありそうじゃな)
一護を眼下に捉えて思案する山本、しかしそんな素振りは見せず新入隊員達に歓迎の辞を述べた。
(……総隊長の爺さん、こっち見てなかったか?)
『一瞥はされていたな』
『良いじゃねぇか、退屈しなくて済みそうで』
一瞬だが視線が自分に向いていた事に気付いた一護は相棒達と話すが、朔護の言葉にそれもそうだと会話を終える。
入隊の儀を終え、一護は他の新入隊員と共に一先ず隊舎内を案内され早速仕事を任された。
流石に簡単な書類と基本任務だけだった為に何も問題は無かったが、些か一護には物足りない感覚が拭えない。
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