書庫(捧げ物3)

□第三勢力の台頭
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深夜の浦原店、織姫が攫われた事でいなくなった死神達に呆れつつも浦原達はするべき用意を始めていた。
そして予想通り来た一護、しかし予想していた二人は現れず浦原は首を傾げる。
「いいよ、浦原さん。浦原さんが何を期待してたか知らないけど俺一人の方が良い」
静かに言う一護に何も言えなくなる浦原。
「…わかりました、私も行きますよ一護さん」
「なんでそうなんだよ、邪魔なんだってお前が来ると」
帽子をかぶり直しながら言った浦原の言葉を瞬時に切り捨てる声、一護と酷似していながら違うそれに浦原が目を見開く。
「我等だけの方が暴れやすいからな」
「そういうこった、大人しく現世の管理しとけ」
「いざとなったら二人にも暴れてもらうから、心配しなくても大丈夫だよ」
いつの間にか一護の隣に立っていた斬月と朔護、その二人に目配せして姿を消してもらうと一護は浦原に微笑を向けた。
「具象化出来るんスね、虚の力って…」
「ああ、結構前から出来てるけど。でも流石に浦原さん、言うことがそれかよ」
呆然としつつも現状を分析する浦原に一護は苦笑し、気を取り直して表情を引き締める。
「虚圏への行き方は?」
「アタシが扉を開きますんで、後はより暗い方に進んでいただければ着けます」
問い掛けに返答を返し、準備して置いた場所に扉を開く浦原。
それに頷き、一護は躊躇なく飛び込んでいった。


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虚圏、足を踏み入れた一護は目の前に広がる光景に眉を顰める。
『地下のようだな』
『とっとと行こうぜ』
通路に出てしまったらしく、窓がないそこに立つ一護。
どちらに進もうか考える間も無く聞こえた音に、斬月を構えた。
微かだった音がすぐ傍まで来て、視界の端にあった曲がり角の所で止まる。
ホラーに有りがちな展開に少しばかり辟易しつつ、一護は音の主を待った。
バンッと通路の大きさに釣り合わない巨大な手が現れ、手の主がゆっくりと顔を覗かせる。
予想以上の大きさに逆方向を目指して一護は走り、少しでも広い場所を探した。
すぐに見えた広間に飛び込むと、上に続いているらしい階段が見える。
『挟まれたか』
『雑魚だけどな』
すぐに立ち塞がるように現れた破面に一度立ち止まる一護。
冷静な相棒の声に笑みを浮かべ、一護は揃った二人の破面の口上を聞く事も無く両断した。
途端に崩れ始めた広間から脱出するべく階段を駆け上る一護。
何とか出口へと飛び出し、辺りを見回す。
「思ったより静かな所だな…」
『創造は本来虚の仕事じゃねェからな』
『此処一帯は弱い者達の住処なのだろう、でなければあんなモノは建てれまい』
荒涼とした砂漠を見て一護が呟くと、それぞれに斬月と朔護が答えを返した。
「わかり易いけど無駄にデケェ;」
斬月が皮肉った虚夜宮を見て呆れつつ、一護はそれを目指して走り始める。
途中、門番のルヌガンガがいたが朔護が粉砕し霊圧を食らって消滅させ問題なく宮へと着いた。
「出入り口が無いなら作ればいいんだよな」
『同感』
『態々礼儀を通す場でもなかろう』
サラリと言った一護に同意する二人、それに笑みを浮べると一護は一撃で壁に穴を開ける。
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