書庫(捧げ物3)

□戦場の騎士は日常でガールフレンド?
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辛くも藍染に勝利した護廷。
一護も虚圏から現世へと戻ろうとして、裾を引っ張る手に足を止めた。
「……ネル」
ギュ、と裾を掴んで放さぬ小さな手に困惑する一護。
「ネルは一護と行くッス」
はっきりと言ったネルに、一護は膝を折って目線を合わせた。
「…ネル、俺達はお前に助けてもらった。でも、向こうで同じ様に助けてやれるとは限らねェんだ。お前はこっちに残った方が良い」
「嫌ッス」
静かに諭そうとする一護の言葉にも耳を貸さず、ネルは首を振る。
大きな瞳に涙を溜めて、今にも泣き出しそうな顔のネル。
さてどうしたものかと、一護は仲間達に視線を移した。
「…一護が決めるべきだと思う」
「そうだね、彼女は頑固そうだし」
「どうするのだ、一護」
「黒崎君?」
「さっさと決めろ」
「どうでもいいから早くしてくれたまえヨ」
「一護さんが決めれば、私達も及ばずながら助力しますよ」
「そうですよ一護さん、隊長達も一護さんの頼みなら聞いてくれそうですし」
口々に言う面々に対し、溜息をつく一護。
最後の卯ノ花や花太郎以外は一護に決めさせようとしているのだ、一護は残る二人に目をやった。
「お前達はどうすんだ?」
傍観に徹していたぺッシェとドンドチャッカに問えば、二人は顔を見合わせて何処からとも無く白いハンカチを取り出す。
「ネルをよろしくな〜〜一護」
「任せたでヤンス〜〜」
「待てこら何でいきなり見送りモードなんだテメェら!!」
なんの躊躇いも無くハンカチを振る二人に突っ込む一護、しかし二人は悪びれも無く胸を張った。
「ネルの決めた事に異論などない!!」
「一護が一緒なら安心でヤンス、いざとなったら霊圧を補給して戻ってくれば済む話でヤンスから」
無責任とも言えるその発言に一発づつ蹴りを喰らわせ、一護はもう一度ネルに目線を合わせる。
「現世じゃコッチと勝手が違う、色々と我慢しなきゃいけないとも思う。それでもいいのか」
「いいッス、ネルはいい子にしてるから連れてって欲しいッス」
真剣な一護の言葉をどう受け止めたのか、ケロリと言い切るネル。
その返答に大きく溜息を付くと、一護はガシガシと頭を掻いた。
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