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□理解と和解
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(ここ…そっか、病室みたいなとこにいるんだったな)
ぼんやりと、今までの事を思い返していく。先刻の卯ノ花、藍染、白哉…。
(そういや、あいつはあの時、あいつなりに助けてくれてたのか…?)
そう、自分の内にいる者の事を思い出す。
(つーか、ヘタクソっておもいっきし言われたよな。あいつは俺自身じゃねぇとしたらなんなんだ?)
そう考える。
(…わかんねぇ、でも斬月ならわかるよな。てか同じ場所にいるか? とりあえず、行けるかどうかだよな。…試してみっか)
結論付けて、己の内に意識を向ける。


目を開けると、見慣れた空と横から伸びるビル。
「自分の意思でこちらに来れるようになったのだな、一護」
不意に後ろから声が掛かり、一護は振り返る。
「斬月、なぁ、あいつは?あいつはなんなんだ?」
一護は斬月を見据えて、問う。
「お前の力の一部だ、相棒」
一護の斜め後ろから答えが返され、その本人が斬月のすぐ傍に来て、笑う。
「わかんねぇって顔してるぜ」
そう言うと笑みを深める。
「…力の一部ってどういう事だよ」
多少憮然としながら一護が正直に疑問を口にする。
「つまり、私がお前の意思であり霊圧の具現者、奴は本能の具現者と言ったところだ」
斬月が静かに説く。
「本能?」
一護はイマイチわからない、といった風に返す。
「そうだ、死神達は虚というが、実際には私と同じお前の一部だ」
斬月は繰り返し、白い彼は頷き、続ける。
「そういうこった、斬魄刀が刀、虚は仮面、それぞれの姿を取るが、手前の力を扱う為の形である事はかわらねぇ」
「そして、己の力、本能に飲まれた魂魄は虚になる」
斬月がそう締めくくると、一護は首を傾げた。
「人間のうちはなんねぇのか?」
白い彼が答える。
「あぁ、肉体があると本能にセーブが掛かるからな」
「そんなもんなのか、じゃあ、お前はなんて名前なんだ?」
一護の言った言葉に白い彼は更に眉間に皺を寄せ、斬月は面白そうに目を細めた。
「白哉にも言ったろ、んなもんねぇよ、いきなり何言い出しやがる」
そう不機嫌そうに返した。
「解ろうとしなきゃわかんねぇって言ったのは手前だろ」
一護も負けじと返し
「…朔、」
ぽつりと言った。
「は?」
聞き取れたが意味がわかんねぇと疑問詞を発した彼を無視して、一護は続ける、
「だから、名前。無いと不便だし、俺に似てるから…白崎 朔護って事で」
嫌か?という表情で聞く一護。
「…わかったよ;」
白い彼ー朔護は頭を掻きながら、そっぽを向いた。
「じゃ、決定な。これからもよろしくな、朔護、斬月」
そう笑う一護に
「あぁ、こちらからもよろしく頼む」
「もう少ししっかりしてくれよ、王」
それぞれ返した。
そうしてしばらく雑談していたのだが、一護が思い出したように切り出した。
「そういえばさ、斬月、朔護、藍染の話覚えてるか?俺だけだと曖昧な部分あると思うし」
「一応私も聞いていたが…」
「あー、そういやさっき卯ノ花と話てたな」
「あぁ出来れば俺の話で足りない部分があったら言ってくれねぇか?」
「斬月が聞いてたっていえば怪しまれねぇしな」
「そういう事ならば構わない」
「じゃ、その時はたのむな」
そう笑っていると、
「んっ…ふぅぁ」
一護が欠伸をした。
「話過ぎたようだな」
「いつでもこっちには来れるんだ、今日はもう休みな、一護」
それぞれ言うのを聞いて
「ん、わりぃ、じゃぁまたな」
そう言って一護は外に意識を向け、精神世界から消えた。

「…ホントに甘いな、あいつは。名前を付けられるなんてな」
「だが、それが一護の良いところだろう?」
「弱みになったらどうすんだよ」
「強くなればいいだけだ、その為に我らがいるのだかれな」
「ふん、まあな。だが、俺はあんたみたいに甘いやり方はしねぇからな」
そう言い残して朔護は去り、斬月は空を見上げてわずかに微笑んだ。
「一護を護る事は否定しなくなったのだな」



あとがき
どんどん長くなっていく;
ここの時点で朔護は一護に対し好感を持ち、段々過保護に(^^)

補足と注意
「白崎 朔護」という名前、『月の眠り』というサイト様で管理人の神谷様と考えたのでそちらのサイト様でも使っています。
当然ながらキャラ設定が違います。
それを了承の上、今後とも駿の作品を読んでいただければ幸いです。

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